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解釈とたまに考察と感想

【SS】ふたつの炎【苗木誠生誕祭2019】

⚠こちらの文章は普段と違ってSS形式となっております⚠

ダンガンロンパシリーズの重大なネタバレを含んでおります。




















ボク達がいる世界が、いつだって希望に満ちた世界だとは限らない。
大袈裟な話ではあると思うけど、これを経験している人間としては否定できない。気づいたらそこは教室かもしれないし、あるいは南の島かもしれない。事実として、今がそうだ。どういう訳か、今ボクは机に突っ伏して寝ている。手足が縛られているというわけでもなければ、誰かに監視されているような雰囲気も無い。はっきり言って、不可解な状況だった。…もし万が一、これが残党の仕業だと言うのなら、それにも納得はできるんだけど。そして、残党は模倣犯とも言える。机で寝ているというこの状況に、一瞬だけ悪い予感が脳を掠めた。これ以上、ここに留まるのは良くない。そう本能で感じ取った。ボクは周囲を確認すべく、ゆっくりと顔を上げた。

…………………………教室だ。
独特の壁の色、窓に打ち付けられた鉄板、そして監視カメラ。そこは幾人もの青春を踏みにじってぶち壊した紛れもないあの教室、おそらくはあの学園だった。忌々しい、思い出したくもない、忘れてはならない惨状がいくつも生み出されてきた、希望を育てる絶望の檻。ボクを超高校級の希望にしてしまった、全ての始まり。人によっては全ての終わりとも言えるだろう。これは夢だ。とても悪い夢だ。そう確信すると共に、脳を掠めていた一抹の不安が再び呼び起こされる。まさかそんな事がと思いたいが、事実として、平和になった世界からも絶望は消えていない。消すことなどできないものだと、なんとなく悟っていた。ボク達の住んでいる世界は、あくまで「象徴の無い世界」であって、決して絶望の無い世界なんかではないのだ。夢であろうと現であろうと、とにかくここに長くはいたくない。早くこの部屋から、いやこの学園から出なくては。生存本能から、ボクは部屋を飛び出そうとする。事が起きたのはその時だった。

「お久しぶりです、苗木くん」

声が、聞こえた。
あまりに突然の事で、ボクは思わずゆっくりと振り向く。…そこには、声の主だとはっきり言いきれるその人がいた。ここでやっと、これは悪い夢なんだと絶対的に確信する。それと同時に、この教室にしばらくここに留まらなければいけない、いや留まるべきなんだと強く実感した。
「…私の事、覚えていますよね?苗木くんがここに来るまで、ずっと待っていました。苗木くんとおしゃべりするために。きっと、私の事、理解していないでしょうから」
もちろん、彼女も忘れてはいけない存在のうちの1人だ。確信的に、けれども確かめるように言葉をかける。
「…なんで分かったの?」
エスパーですから」
人によっては、彼女の事を全ての始まり、口火を切った張本人とも言うだろう。もちろんボクはそう思っていない。だからこそ、彼女は理解していないと言えるんだろう。
「何が理解出来てないかって、もう分かっていますよね、きっと。確かに私は、殺された側の人間です。…人殺しを企てて、あなたに罪を被せようとして、返り討ちにされた、『被害者』です」
おまえの考えている事は分かっている、とでも言いたげな口調でそう静かにまくし立てられる。感情的なはずなのに、その笑顔の仮面が剥がれることは無かった。それに、質問に対するボクの返事もきっと分かっているだろう。…はっきり言って、自分のしている事が「正しい」事なのかどうか、今となっては分かっていない。もはや、これボクのエゴなのではないかとまで思っている。
「…もしそうだったとしても、舞園さんは悪くない。悪いのは全部黒幕なんだ、黒幕のせいなんだ…!」
絞り出すように、エゴを吐き出した。この言葉は、キミや他の人達にとってはもはや呪いの言葉なのかもしれない。今までに、何度この言葉を吐いてきたことだろうか。けどボクは、この言葉こそが後々にキミ達を救うと信じている。事実、何度悔いても、夢の中の彼女にかける言葉はいつだってそれだった。
「そもそも、口火を切ったのは紛れもない私なんです。あの時、私が外に出たいだなんて思わなかったらピタゴラ装置は作動しなかったんです。そのせいで何人の犠牲が出たのか覚えていないんですか?」
ああ、もちろん覚えている。とても鮮明に。たとえそうだとしても、キミは何も悪くないんだ。そのピタゴラ装置を作ったのも、君にボールを握らせたのも、転がさせたのも、ぜんぶ黒幕がやったことだ。
「だから苗木くんはずっと私達を救えないんです。明確な殺意を持った私達を。お願いだから認めさせてください!それを背負って償うことこそが、私たちの救いなんです!救われていないからこそ、私はこの学園に囚われたままなんです!」

お願いだから、ここから出してよ!

それは違う。…キミが背負う必要のある罪なんて、どこにもないんだよ。そもそもあの時にボクが気づくべきだったんだ。キミを救えるのは今なんかじゃない。まさに、ボクが初めにそれを聞いたその時だったんだ。何十年も引きずってきた後悔が、今になって再び痛みを帯びる。今は一旦忘れよう。後悔すべきなのはボクだ。決して彼女ではない。その後悔ならいつだって、嫌でもできる。彼女が言う「救い」は、どう考えたって自己犠牲だ。キミは何回自分を犠牲にするんだと、喉から吐き出しそうになる。けど殺意を認める事がキミを救うことになるのなら、ボクは決してキミの言う「救い」をしない。
「救っても、キミは絶対に幸せになれない。罪を償うべきは君じゃなくて黒幕だ。ボクはそう確信しているんだよ!」
まず、こうして強い言葉を押し付ける事でものを論ずることができないボクを、許して欲しい。そしてキミは知らないだろう、『超高校級の希望』の名にかけて誓おう。
「ボクがどう思うかで、キミが悪いかどうかなんて決まらないよ。…それに、もしボクはキミが罪を認めたとしても、絶対にキミに罪は無いって言い続けるし、黒幕を許さない」
ここまでは、他人が聞けば完璧な綺麗事だろう。そしてここからは、1人の人間としての誓いだ。
「それとさ、舞園さん。…もしキミのせいだとみんなが、いや世界中が言ったとしても、ボクはあの事件を、キミのせいになんか出来ないんだよ」
そもそも、少し人より前向きなことだけが取り柄のボクに、綺麗事だけを吐き続けることなんて出来なかった。どうしても、彼女にだけはその心情を伝えてしまうのだ。
「…そう、ですか」
キミは、何も言うことが出来ずに目を伏せる。いつもならここで終わってしまう夢は、決して途切れなかった。
「さ、早くここから出ようよ。舞園さんも、あまりここに長くはいたくないでしょ?」
これがよほど悲観的な夢ではない限り、ボクは彼女と一緒にこの部屋を出ることが出来るだろう。これは経験則でもなんでもなく、ただの願いだった。
「どうして、そう簡単に外に出られるって信じられるんですか…?」
「…ただの勘だよ。きっと鍵も開いているだろうから、行こう」
まあそう思うのも無理は無い。ここから出られないと思うのは、生き急いでしまった彼女の防衛本能に近いだろう。付いてくるかどうかは、彼女がボクの事をどう思っているか次第だ。ボクには、今はどうすることもできない。
「……苗木くんなら、ここから出してくれるって信じていましたよ」
少しの間を置いた後、手に温もりを感じた。…何十年越しの誓いを、やっと果たす時が来たのだ。
「…ありがとう」
「こっちのセリフですよ、苗木くん」
あの時、もっとボクがキミを、キミがボクを、信頼できていたら。この後悔は未だにボクの心に空いた穴であり、混沌への怒りの炎の火種になっている。信頼は絆だ。そして、その絆はいつしか希望となる。
「…約束、ずっと守れなくてごめん。ここから出すって言ってたのにさ」
夢の中も含めて彼女への誓いを果たしたのは、これが初めてだ。人間としてはかなり成長したと思うが、一人の男としてはまだまだ青二才だと感じる。
「いいえ、苗木くんは悪くありませんよ」
キミはボクがさっき言ったように、笑顔でそう返す。その笑顔は、アイドルとしてではないものなんだと感じ取った。
「苗木くんはすごく頑張ったんですから。もっと自分を認めてあげてくださいよ」
「…えっ?」
今度は私が励ます番、とキミは笑顔でこちらを見る。正直、かなり驚いた。
「…苗木くんは、自分が思っている以上にみんなの助けになっているんですよ?きっと死んでしまったみんなも、そう思っています」
少しの間を置いて、舞園さんの手がボクの頬に伸びる。…恥ずかしい事に、無意識のうちにボクは涙を流していたらしい。コロシアイ生活中も、もちろんその後だって、泣いたことなんて1度もなかったのに。少しだけ、ここから出たくないと思っている自分を感じてしまう。ここから出たら、きっともう二度とキミには会えないだろうから。
それでも、ここから進むのも止まるのも「運命」ってやつだ。ボクは皆と、皆を背負って前へと進もう。明るい決意をこめて、ボクはカチャリと鍵の開いている扉に手をかけた。
「…苗木くん、ありがとうございました」
きっとその時、キミは微笑んでいたのだろう。そう信じたい。扉を開けて、ボクは彼女と外へと出た。手に感じていた温もりが消えていくのを痛感する。それから僕は、二度と彼女の姿を見ることは無かった。


扉を開けた先には、あの時のように古風なエレベーターが1つあった。ただ一つ違うのは、赤い扉が無いことと、そこまでの廊下な存在しないこと。けど何が起こるかも誰がいるかも何となく予感しているし、それは全て悪いものだった。…それでも、とボクは1歩先へ進んだ。ここまで来たら、もう行くしかない。
エレベーターに乗って、ボクはふと後ろを振り向いた。…葉隠クン、腐川さん、朝比奈さん、十神クン、そして霧切さん。置いてきてしまったみんなは、まだ元気だろうか。そういえば、みんなにはしばらく会っていなかったな、と今更気づく。こんなことになるんだったら、会っておけばよかった。ボクは大丈夫、後は頼んだよ、と。
今更別れの実感が湧いて、エレベーターに乗ったことを少しだけ後悔する。もう後戻りは出来なかった。これからは、ひとりで。ここからは、未来機関のみんなも、死んだ仲間たちも、誰もいない。言いたいことは山ほどあったけど、彼らにそれは必要ないだろう。そう自分に言い聞かせて、下を向いていた頭を前に起こした。
エレベーターを降りると、そこには長い長い廊下があった。長すぎてもはや先が見えない。その道を、ボクは懸命に歩いた。78期のみんなや未来機関の面々、残党達はもちろん、舞園さん、霧切さん、そして…。不思議な事に、1歩1歩踏み出すごとに、走馬灯のように希望と絶望の戦いが思い起こされる。わずかな光を頼りに、再び廊下を進んだ更にその先に、あの赤い扉があった。きっと、この先に。あの時と同じような決意と闘志に、ボクは再び火をつける。不思議と、自分は決して1人ではないのだという気がした。ボクの背中には、今間違いなくたくさんの仲間達がいる。彼らと、最初の1歩を踏み出す。…大きく深呼吸をして、ボクは扉を勢いよく開けた。


それが思っていたものかといえば、はっきり言って違った。おそらく、映画館だ。そしてボクが映画館に居るということは『そういうこと』なんだろうと本能的に感じ取った。…世界に平穏が訪れたあの日に、ボクは緩やかにに死んでいったという事。それはあまりにも突然の事だったこと。きっと心不全不整脈か何かだろう。故意か偶然かはたまた運命か、今となってはよく分からないという事。とにかく、ボクが映画館に居るということには変わりはない。そしてそこには、予感していた通りと言って良いだろう、先客がいた。彼女は座席が並んでいるそのど真ん中にどっかりと座っていた。
「…よく来たわね、人間」
「……………」
「それにしても呆気ない死に方だったなぁ!!!苗木ィ!!!!」
こちらも振り向かずに、一言二言交わした。相も変わらず、しおらしいように見えたらすぐにこうだ。…江ノ島盾子。ボクがこの身をもって、一生を賭けて戦ったモノの“象徴”。
「…お前と比べたら、呆気ない死に方だっただろうよ」
「ま、あそこまで絶望的な死に方ができるのは世界一絶望的な私様だけですけどね」
そう言って彼女はけらけらと笑う。ボクは何も言わなかった。今更、彼女に言いたいことなんて無い。
「…そんなどうでもいい事よりもさ、これ」
キャラを変えるキャラ設定にももう飽きてしまったのだろうか、真顔で指差した先には巨大なスクリーンがあった。まあスクリーンがある事自体は映画館を模したこの空間では当たり前のことなのだけど、問題はその内容だ。そのスクリーンには、人型のロボットのようなものが映っていた。それだけじゃない。仁王立ちする少女に、何も出来ずにただただ立ち尽くす少年少女達。しかも、それこそボク達が戦ったあの円形の裁判所のような背景がそこにはあった。…まさしく、高校生の時のボクらそのものだ。
「なぁ?絶望的にシュミ悪いだろ?」
「…お前のやってた事じゃないか」
「まあ、私様のファンがこれやってるんなら文句無しなんですけどね」
ファン、というか残党以外に誰がこんな事をやるんだよ、と心の中で呟く。正直、信じられないというのが率直な感想だった。あの日、確かに平穏は訪れたはずなのに。
「これ、絶望的に退屈なのっ。この絶望的にキュートなアタシが作ったもののはずなのに。ま、苗木に言っても分かんないか」
可愛こぶるような素振りを見せながら、やっとこちらを向いて話し出す。どうやら、この映像に本気で飽きてきたらしい。それはボクも同じで、今頃になってやっと彼女と少し離れた座席に座った。
「…『ちゃんと』人が死んでて『ちゃんと』絶望的な展開なんですけどね。なんでこんなにツマラナイんだと思いますか?」
…そんなこと、キミが一番分かっているくせに。やっぱり、ボクは彼女と分かり合える気がしないと改めて感じる。江ノ島盾子を理解するという事は即ち、超高校級の絶望を理解するということなんだろう。そしてそれは、根本的に思考回路が違う種、例えば異星人を理解するようなものだ。あくまでボクにとっては。
「…ツマラナイついでにさ、遊ぼうぜ。コレ使ってさ」
終始無言を貫くボクに差し出されたのは、見慣れてしまった黒い鉄の塊。そして、彼女も全く同じようなものを持っていることに今更気づく。
「…死んでからは、コレを使うことでしか絶望を感じなくなったんです。…でも、コレが超超超超超超超超超超超超、絶望的なんですよ」
よく見たら、確かに前の方の座席には彼女だった肉塊が並べられていた。死んだ世界でまた死ぬという概念に吐き気がする。…こうなってしまっては、もう何を言っても無駄だと悟った。
「じゃ、ルールを説明するよ〜?アタシが苗木に、苗木がアタシにコレを向けて、引金を引くだけ!簡単でしょっ?」
「そんなの、両方死ぬんじゃ
「何言ってんだよ苗木ィ!!そんなつまんねぇルールなわけ無ぇよな??」
「そちら、確認して頂ければ分かるのですが、弾は2発しか入っておりません。つまりは3分の1の確率で死ぬ、と」
「それで先に死んだ方が負け、です……」
一方的に追い詰めるようにルールをまくし立てられる。いつもそうだ。自らを死の危機に晒すのも、絶望という名の快楽に弱いというだけの話だった。
「何度も言うけど、ボクは別にお前を殺したいわけじゃないんだ。世界から絶望が無くなればそれでいいんだよ!なんでお前と殺しあわなきゃいけないんだ!」
「今更何言ってんの?アンタとアタシが殺し合うのは運命。水と油が永遠に反発し続けるようなもんよ」
「だからといって、他にもやり方が…」
「やり方も何も無いわよ。まだ分かんないの?まさか、アタシを絶望じゃ無くそうとしているつもり?」
「それにね、光が強ければ影も濃くなるでしょ?ねぇ、苗木くん、アタシが何言ってるか分かる?」
…はっきり言って、分かりたくなんてなかった。霧切さん達と1度はそう結論づけたものの、それは模索中の答えだったからだ。絶対に、ボクの中には模範解答が存在する。
「…その通り。あなたは私、私はあなたなのです。お気づきでしょう?あなたが世界に希望を広げると共に、絶望もまた広がっていくのが。皮肉ですね。絶望的ですね」
「なぁ、分かってんだろ?オレら絶望を消すためにするべき事をよぉ!!」
紙一重で、光と影で、相反する概念。ボクが背負っていたものは、そんなものだった。考えれば考えるほど、「その」結論にしか行き着かない。そして、それは目の前にいる彼女も同じなんだろう。今ここで、本気で、自分の命を賭けてまでも、消しにかかっている。
「で?やるのか?やらないのか?人間」
「…やらないって言ったら、どうするんだよ」
「その時は、私があなたを殺すだけとなります。非常にツマラナイですね。絶望も広がりっぱなしですし」
「…ここでは、人は羽虫と同じくらい死にますからね…たまには、苗木くんに…超高校級の希望に、殺されたいんです」
「…分かったよ」
ちょうど、あの時…江ノ島盾子が自らを死に追いやった時によく似ていると思う。誰も彼女を止めることは出来なかった。暴走族のプライドを、ギャンブラーの夢を、格闘家の覚悟を、誰も止めることが出来なかったように。
「ではでは早速…って、アンタ銃の使い方なんて分かるの?」
「分かってるから」
「…そっか!じゃ、行っくよ〜〜?」
嬉々としながら、江ノ島盾子はリボルバーを回す。「あの目」だ。あの目をしながら、ボクに銃口を向けた。
「撃たねえなんてチンケな真似すんじゃねえぞ?」
もちろん、ボクも覚悟を決めた。きっと、高校生の時のボクならこの弾丸を放たずに、彼女に殺されていただろう。けど今は違う。悲しい事に、ボクはこんな状況には慣れてしまっていた。そして、いくらボクが「お人好し」だったとしても、彼女は殺さなくてはいけないのだ。そういう結末にしないと、絶望が広がり続けるから。震える手に、そっと鉄の塊を握る。
「…そんなに震えなくても構いませんよ。きっと、これは永遠に繰り返されるので」
「…どういう事だよ」
「前に並んでた死体、見ていないんですか?ここは、何回死んでも生き返る、正に絶望の温床なんです…絶望的に最高、ですよね」
飽き性のお前が、こんな状況を最高だと思うはずがないのに。もう互いに聞く耳を持っていなかった。死にたくてたまらない、といったような顔をしている絶望にとって、生きるも死ぬも絶望だ。いっそ一思いに、ええいままよとボクは引き金に手をかけた。
「じゃ、いっくよ〜??せ〜〜〜のっ!!」



















「超高校級の幸運、ねぇ……」


「…絶望的だわっ!」


2発目の銃声が鳴り響いたのは、そのすぐ後だった。この肉塊が動き出すことは、もう二度と無いだろう。

概念は、死んだ。





















『…僕は、』

『僕は、希望を否定する』

【解釈】日向創の人格と才能

※本記事にはダンガンロンパシリーズの重大なネタバレが含まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日向くんの誕生日には間に合っていると思いたい。お誕生日おめでとう🎉🎊今回は彼の人格を主に解釈しています。解釈違いが苦手な方以外はぜひご覧下さい。

 

 

1.はじめに

まず、日向創の解釈をするにあたっての前提から説明します。

作中で、彼は人格が変わる(つくられる)時があります。その理由は虚無状態になる時、手術等で物理的な理由がある時などさまざまですが、大まかに言えば「絶望した時」です。

そこで、本記事では彼の人格を3種類+派生2種に分けて解釈していきます。そのうえで、それぞれの人格に「人格」と「才能」というバロメーターのようなものを付けたいと思います。「才能」は文字通りどれくらい「超高校級」の才能を持っているかを表します。一般的な人々は0~20、「超高校級」は大体20~80で、80以上になるとその中でも強い方に分類されるようなイメージです。数値上限は最低(といっても普通)が0、最高点は特に設けておりません。「人格」は日向創の人格がどれだけ残っているかを表します。普通最低が0、最高は100で、オリジナルの人格である「日向創」が持つ人格数値を100とします。基本的これは減っていく数値です。またあくまで日向創の人格なので、品格の良さや倫理観とは関係ありません。

そして特殊バロメーターとして、才能を手に入れるまでの日向創の人格、つまりカムクラ化するまでの人格には「渇望」というものを付けます。文字通り、才能への渇望、執着を表します。こちらも最低が0、最高は100です。基本的にこの2+1つのバロメーターに焦点を当てて解釈していきますが、この2つ以外の違いももちろんあります。

 

 

2.人格解釈

ここでは、前述した3種類の人格+2種の派生人格を解釈します。

 

①日向創

才能:0 人格:100 渇望:50

本来の日向創の人格で、人格数値も彼の人格が基準となっています。一言で言えば「オリジナル」です。スーダン本編の虚無状態になる前と、おそらく自分に才能が無いと分かるまで、つまり幼少期はこの人格だったと思われます。

ファンや狛枝の言うところの相談窓口適性のようなものがあり、彼の持つ性格の中では最も品格に優れています。才能こそ0ですが、日向創のあの人格がそのまま残っているので普通に生きるのであればこの状態が1番望ましいです。

しかし彼の才能に対する執着は(この時点で)一般人の割にはすさまじく、才能を望み、自分に何らかの才能があると信じて疑っておらず、後にそれが彼のことを苦しめます。

 

また、予備学科も含め、彼がなぜここまで才能に執着しているのかも考察のしどころです。まず、彼の描写を見る限り、希望ヶ峰に入学するまでに周りに才能を持っている人がいるわけでもなければ、親族に強制されている(ex:新月渚)ようなこともありません。あったとしても、同い年くらいの才能人に劣等感を抱く程度のものだったのでしょう。

環境に理由が見当たらない以上、ここからは日向創の内面の問題となってきます。まず、日向創の渇望数値が50である以上「自分に才能が無い」という悩みの壁にぶち当たる事は避けられようがなく、確定した未来です。(「なぜ渇望数値が50なのか?」という問いは一旦置いておきます)内面といっても性格や感情そのものではなく、壁に対する対応の仕方に彼が才能を渇望した理由があります。

「才能が無いのだがどうすればいいか?」という問いに対する答えを調べた結果、大まかに「才能がないからと悲観するのは間違いである」「好きなものを探せ」という2つがありました。(著名な方の答えも含んでいるのであまり頓珍漢な答えではないと思います)

1つ目のものは、「自分に才能があるのか?」「才能がなければ生きる価値はあるのか?」という問い立てがそもそも間違っている、ということです。作中の彼は、その2つの問をどちらも立ててしまったからこそ予備学科、カムクライズルという人格を生み出しています。アニメ3で日向はこの事を七海に言われていますが、渇望数値が大きすぎるせいでそれを聞き入れたうえでカムクラプロジェクトを受けてしまいました。七海の助言を聞いて、人格数値の低い予備学科は壁を乗り越えるのではなく、そもそもその壁を無くそうとしてしまったのです。

また2つ目は1つ目の追加事項でもあるのですが、「才能が無いから死ぬ」のではなく「好きなもの、人のために生きる」という考え方を推奨したものです。ここから私は、日向創が才能に執着し、カムクラ化までしてしまった理由は彼の無趣味さにもあると考えています。

よく考えてみれば、彼は何か趣味を持っている描写がありません。スポーツが好きなわけでもなければ、何か得意な科目があるわけでもありません。ここで、問題は「なぜ無趣味なのか?」という事にスイッチングします。

そこで出てくるのが、予備学科の日向と七海です。先程彼は無趣味だと記した時に、あの一緒にゲームをしているシーンが頭を過ぎった方も少なくは無いでしょう。ですが、彼にとってゲームは趣味ではないのです。その理由に、すぐ隣にいた七海があります。

何度も言うように、日向創は才能に執着しています。その彼と一緒にゲームをしているのは「超高校級のゲーマー」です。ここで、彼が超高校級のゲーマーを追い越すためにゲームをしているとは考えられないでしょうか。そして、ほかの分野でもそんな風にしていたとは考えられないでしょうか。つまり、彼は幼少期から無意識下で「自分の才能を探すため」に行動していたということです。また予備学科の時の彼は、「七海は超高校級のゲーマーだから」と彼女にゲームで勝つことを諦めていますが、それも勝つことで自分の才能を認めようとしていたオリジナルの日向創の頃があったからだとも言えるのではないでしょうか。

ここで、

何か行動(ex:ゲーム)をする→「超高校級」レベルにはできない→努力する→それでもできない→新しい行動に移す

という負のスパイラルが生じています。「何か行動を起こす」という事は生きていれば誰でも行うので、このスパイラルが発生する以上彼の渇望数値は50になってしまうのです(ここで「なぜ渇望数値が50なのか?」という問いが解決します)例えて言うならプロが多い格闘ゲームであまり勝てず、諦めて別のゲームに移ってしまうといったところです。一般的な人々にとってはよくあることかもしれませんが、彼にとって、ここで言う「行動」は、砂漠から砂金を探すような「作業」だったのでしょう。おそらく彼はいわゆる「ガチ勢」だったのです。そして、努力することで得られるもの以上のものを求めてしまいました。これが、彼が才能に執着してしまった理由です。

 

 

②予備学科

才能:0 人格:x(0<x<100) 渇望:y(50<y≦100)

才能が無いと知ってからカムクラ化手術を受けるまでや、スーダン本編での虚無状態の人格になります。やはり注目するべき点は人格と渇望の数値です。かなり幅が広いのでこのように設定しました。もちろん、カムクラ化手術を受けるまで人格数値が下がり続けているという意味です。

ただし、人格数値が0になったらもはや人間とは言えない状態になるので0にはならないようになっています。また、人格数値が下がるにつれて渇望数値が高まります。どちらかと言えば、アニメ3では「日向創」から「予備学科」という人格に変わったというよりも、自分が才能を持たないと知ったことによって人格が下がったり渇望が増したりするようになったといってもいいかもしれません。

また、カムクラプロジェクトを受ける直前の彼のバロメーターは、才能:0、人格:ほぼ0、渇望:100です。これはスーダンでの虚無状態と同じ数値です。このバロメーター数値になることが、どんな人間でもカムクラプロジェクトを受けるようになる条件です。このバロメーターにならないと手術を受けないからこそ、スーダン本編の日向創はなぜ自分がカムクラプロジェクトを受けたのかわからなかったのです。才能以外のバロメーターがかなり数値の動く人格であることから、カムクラの次に普通の世界で生きることに向いておらず、最も人間的に不安定な人格です。

不安定であるからこそ、この「予備学科」の状態で希望ヶ峰学園に入学するのは極めて危険です。人格や渇望の数値が動くのは、周りの才能人への嫉妬や劣等感、自責から来るものだからです。実際、もし希望ヶ峰学園に入学していなかったらその2つの数値は動きませんし、もちろんカムクラプロジェクトを受けることもなかったのです。ですがこの仮定は、渇望数値の大きさにより無効化されてしまいます。

 

そして、ここではおまけ(?)として彼の家庭環境についても考察します。考察材料は日向創と予備学科の人格の時です。事実として挙げられることは、

・予備学科に入る事を決めている

→莫大な入学金が必要、つまりある程度裕福な家庭(だった)

・カムクラプロジェクト決行

→プロジェクトを受けることには保護者に放置されていたor亡くなっていた

の2つです。2つ目は多少の推察が入っていますが、保護者の同意なしにプロジェクトを行うことはまず無いと希望ヶ峰学園を信じました。(ここが信用しきれないあたり…)

とにかく、上記2つの事から希望ヶ峰学園入学~カムクラプロジェクト決行までに家庭内で何かあったという事には間違いありません。両親が亡くなった可能性や、狛枝のようにそもそも幼少期に両親が亡くなっていて莫大な遺産を持っていたなどの可能性も一応ありますが、考察しようがないのでここでは両親から放置されるようになった理由を考えていきます。

理由を想像する分にはかなり容易ですが、特定は困難です。可能性としては両親の離婚や不仲、才能が無い子供に対する育児放棄などです。またスーダン本編の日向創の発言から家族の事がほぼ判明しないことから、元々の家庭環境があまり良くなかったか、父親か母親が何らかの都合であまり家にいなかったのだろうかとも推察できます。また、家庭を含めた彼を取り巻く環境は、「才能や環境に恵まれ、努力をすれば叶う世界に住んでいた」と評価されている赤松楓と対極にあるとも考えられます。

決して環境のせいで才能に執着するようになったというわけではありませんが、特に予備学科の時の環境は彼の人格・渇望数値は彼の家庭環境に大きく影響しているという事が大いに考えられます。

 

 ③カムクライズル

才能:100 人格:0

アニメ3やスーダン本編に登場するカムクライズルの人格です。才能が付与され人格が消去されたことにより、渇望のバロメーターが無くなっています。予備学科がカムクラプロジェクトを受けて人格を完全消去(ほぼ0→0)し、才能が植え付けられることによって構成される、いわば人工的な人格です。予備学科の渇望が100%才能に還元され、ここで初めて才能、それも「超高校級の希望」という名の万能性を持つ才能を手に入れています。しかし人格が0になっているので、いい意味でも悪い意味でも合理的な判断しかできません。生徒会や七海を殺すことに反対しないのも、江ノ島盾子の計画の下準備をするにあたって最も合理的だと判断したからです。

ここから、カムクラは当然ですが江ノ島と同じ「超分析力」を持っていると分かります。もちろん、アニメ3内でこそほとんどこの才能が使われていると思われますが、他にも様々な才能が搭載されています。それでも彼が江ノ島に賛同しないのは、彼が人格を持っておらず、面白い・楽しいといった様々な感情が欠如しているからです。感情、というよりは衝動(苗木誠でいう無印1章)によって突き動かされる心がなければ、本当の意味では超高校級の希望にも絶望にもなれないのです。カムクライズルの「超高校級の希望」は、あくまで様々な才能を持つだけのものなのです。

同じ「超高校級の希望」である苗木誠との違いはそこです。いくら素晴らしい才能を持っていても、それを行使する「動機」が無ければ全く意味がありません。苗木誠にとっての動機はコロシアイの犠牲者の発生に伴う黒幕への怒りという感情ですが、カムクラに感情はありません。なので、彼が才能を行使する動機はあくまで感情を伴わず、「江ノ島盾子の計画に協力する」という与えられた目的の達成が動機です。感情的になった人間ほど止めにくい者はいません。感情が苗木を超高校級の希望たらしめたのとは反対に、感情を持たないカムクラは感情的な理由で才能を行使することがなく、アニメ3時点では江ノ島盾子の犬に成り下がるしか無いのです。

しかし、カムクライズルは結局1度も衝動を受けなかったのかというと、そうではありません。彼が衝動を受けたのは、七海千秋がおしおきされた時です。ただ、衝動を受けたその瞬間は、彼はまだ「なぜ自分が涙を流しているのか?」という事はまだ理解していません。のちのち理解したということが予想されます。また、彼は偶然にも苗木誠と同じ、大切な人を亡くした時に彼は初めて涙を流しました。だからこそ七海のおしおき以降は自らの意思で動き、最後には77期生と共にジャバウォック島に向かったのです。

 

④覚醒

才能: 80以上 人格:100

簡単に言えば、日向創とカムクライズルのいい所取りをした派生人格です。プログラム世界だからこそ構築可能な人格と言えるでしょう。スーダン2の時点で明確に現れている人格の統合が完成しています。また、七海の「未来が無いのなら創ればいい」という提案の答えにもなっています。今まで出てきた日向創の人格、七海、苗木や77期生の誰か一人でも欠けたら存在しない人格です。解釈材料が少ないので、才能数値は「規格外」である80以上にしました。アルターエゴとはいえ江ノ島盾子を破っているので、このくらいはあって当然だと思います。本編で育んだ人との協力、絆による「衝動」、そして人格数値の復帰による感情の付与によって初めて「超高校級の希望」が本来の力を発揮しています。

数値を見て分かるように、日向創が持つ人格の中では最強の存在です。ただし見た目や大きすぎる才能・人格数値にも現れているように、予備学科とは違った意味でとても不安定です。不安定というのは、元の日向には才能を受け入れられるだけの器が無く(だからこそカムクラプロジェクトを受けた)、それなのに才能が付与されているので、延々と器から水が流れ出ているようなイメージです。おそらく彼がプログラム世界外で生きていくことは不可能です。だからこそ人格「オッドアイ」が構築されたとも言えます。

 

オッドアイ

才能:50~80 人格:50

アニメ3の終盤や、おそらくスーダンのエピローグの時の人格です。覚醒に予備学科の人格を混ぜたことにより、人格が人間的に整理され、覚醒より安定した人格です(ただし弱体化はしている)。オリジナルである日向創の人格はもう二度と戻らないため、この人格を作ることが彼ができることの中では最善策とも言えます。また才能が50~80なのは判断材料が少なく特定が不可能だからです。最高点が80になっているのは覚醒のところで記載したものと同じ理由です。

また、ここはもはや二次創作の範疇ですが、もしかしたら彼はより人格を人間的に安定させるために、才能が段々80から50になっていくのではないか?とも考えられます。1度絶望を背負ってしまえば後のことは苗木などの未来機関が行い、絶望と戦うのはあくまで彼らなので、彼が「超高校級の希望」レベルの才能を持つ必要が無いからです。

さらにスーダンのエピローグが本編のコロシアイからどれだけ時間が経っているのか分からないので明言しづらいのですが、プログラム世界から目覚めたらこの人格だったのではなく、カムクラの才能で統合させたものだと思われます。統合やプログラム世界での事実を乗り越えたりしない限りは、「俺は日向創として生きていく」なんて言えないからです。他の人格と違って欠点が無く、希望(や絶望)を背負えるだけの器(才能)と一定の人格を持っているので、彼は自分たちの罪を償い、希望を助けるために絶望を背負って生きていきます。

 

3.人格の対比

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※変動のあるものは最も極端な数値(予備学科なら才能0、人格ほぼ0)にしています

 

この5つの人格を図として表すと、上記のようになります。青いエリアが才能を持たない一般的な人間が理想とする人間のエリアで、赤いエリアが日向創が理想としたエリアです。オッドアイがほぼ完璧な人格統合であると同時に、これが青のエリアにも赤のエリアにも入っていない事をとても悲しく思います。

そして、ここから日向創とカムクライズルが人間的に正反対であるということが分かります。スーダン本編時はこの2つの人格しか明らかになっていなかったので、プレイヤーはもちろん、日向自身もなぜ自分がカムクラプロジェクトを受けたのか理解できなかったのです。人格が100の日向創は、人格が0の予備学科とカムクライズルの事を理解できません。

 

また、見ての通りですがもしカムクラに人格を付与すれば正真正銘の「超高校級の希望」になり得ます。そして、カムクライズルは前述したように七海千秋のおしおきによって感情、悲しみが芽生えかけていました。もしここで、苗木誠と同じように「江ノ島盾子に対する怒り」が芽生えたとしたらどうでしょうか?喜怒哀楽と並べた時に、怒りは最も強い感情です。もしあの時怒りの感情を抱いていたとしたら、彼はたとえ彼女がシェルター内にいたとしても、本気で江ノ島盾子を殺しに行っていたでしょう。そしてそれは、自ら人格数値を0から増やしていくことで、自ら「超高校級の希望」の名を掴み取りに行くということです。その世界線では、おそらく「超高校級の希望」はカムクライズル≒日向創、ただ1人でしょう。

ですが、残念ながらこの仮定は何度世界をやり直したとしても叶うことはありません。カムクライズルは感情に対する理解がほとんど無いからです。足し算が分からないから掛け算が分からないように、自分が流した涙の理由やその現象の名前も分からないから怒りのような強すぎる感情を持てないのです。逆に言えば、もし江ノ島盾子の邪魔が入らなかったら、希望ヶ峰学園はまず初めにカムクライズルに「感情」という概念を後天的に身につけさせようとしたのではないかとも考えられます。その時の学園の力では、超高校級になるための感情は手術では付与できなかったのです。

 

そして、それぞれの人格を構築するための条件は

予備学科:「自分には才能が無い」と自覚する

カムクライズル:人格数値をほぼ0、渇望数値を100にする(日向の場合、予備学科化して精神的に弱る)

覚醒:カムクラ(才能数値100、人格数値0の人間)がプログラム世界内で予備学科状態になり、「未来を創る」という発想を得る

オッドアイ:プログラム世界内で覚醒状態を経たカムクラが目覚める

となっています。何が言いたいかというと、日向創はどんなことが起きても必ずこの順番に人格が構築され、どの人格が欠けても最終地点である「オッドアイ」にはたどり着かないのです。そして、覚醒やオッドアイは人格の統合がなされて1つのものになっているのであって、日向創は決して多重人格ではないのです。

 

【解釈】白銀つむぎのダンガンロンパ

※本記事はニューダンガンロンパV3に関する重大なネタバレを含んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは白銀さん、お誕生日おめでとうございます👑

せっかくの生誕祭なので人物考察をしようと思いましたが、思い出しライトや白銀つむぎというキャラ設定そのもの的に難しかったので、「白銀つむぎに関する疑問点」について考察、解釈しました。その上で一応人物考察もしましたが、かなり私の解釈が入っているのであくまで「人物解釈」とします。

また、所々よく分からないところがあるという方は、私が今まで書いた考察を読んでくださったら分かるかもしれません。

 

 

前章 白銀つむぎに関する考慮すべき真実

まず、仮に首謀者が記憶を植え付けられていたとしても考慮すべき白銀つむぎに関する事実を挙げていきまます。

 

ダンガンロンパ(アニメ等の2次元作品)への愛、執着がある

ダンガンロンパは、ダンガンロンパもしくは絶望への愛や執着が無いと運営できません。どちらかを好んでいなかったら(希望を拡めるための)絶望を提供できないからです。さらにここからダンガンロンパと絶望のどちらに執着していたかと考えた時に、白銀が参加者に紛れ込んでいるという事実があります。

あの江ノ島盾子さえ参加者に紛れ込むことはしなかったのに白銀は紛れ込んだのには、ダンガンロンパをより近くで見たいという心理が働いているからだと思われます。ここから白銀はダンガンロンパに執着していることが分かります。

 

・チームダンガンロンパに所属、もしくは協力している

設備の都合や思い出しライト等の開発など、V3はゲームの世界にしろ現実世界にしろ、個人で出来るレベルのことではありません。それぞれの「超高校級」の人間が集まれば話は別ですが、V3内ではあくまでダンガンロンパはフィクション作品として扱われているので「超高校級」の存在はここでは考えないこととします。

ここで出てくるのがV3は会社レベルの集団で運営されていたのではないかということです。集団で行っているのだとしたら他に伏線が無いのでチームダンガンロンパが正当だと考えられます。また、首謀者が植え付けだったり利用されていたのだったとしても設備やアイテムの都合上、必ず運営している集団は存在しています。

 

・接待術を持っている

これが演技や植え付けだったとしたらスチルを使ってまで描写する意味がありません。意味があるとしたら本来正規のルートだった赤松妹ルートへの伏線ですが、どうも組み込むにははしっくり来ないものがあります。十分考察材料に入れる余地はあるでしょう。シンプルにお金を貯めるためだったのか交渉に使っていたのかは解釈のしどころとなります。

 

・最原達より5~10歳以上は年上

最原との自由行動(最原が子供の頃見ていた戦隊モノのアニメのキャラクターで白銀がコスプレデビューしている)より推測できる事実です。接待術を持っている事と合わせて、お酒を飲める年齢ではあるのだろうと解釈しています。植え付けの可能性に関しては後述します。

 

1.黒幕は植え付けなのか(考察というよりかは解釈)

単刀直入に言って、黒幕が思い出しライトで「自分が黒幕だ」という記憶を植え付けられ、その上でV3を実行したとは私は考えていません。

 

理由1: 自由行動での矛盾

もし他の参加者と同じような植え付けなら、明らかに年齢が違うという自由行動の矛盾は残さないと考えられます。記憶を植え付けられていた最原がV3世界の真実やダンガンロンパを終わらせる決断に至ったように、記憶を植え付けられた人間にもそれなりに考える力はあるはずです。

もし白銀が首謀者だと視聴者達に気づいてもらうためにわざと記憶を残した(植え付けた)としても、白銀はその事実に自分で気づいて言わないようにしていたでしょう。これがある意味1番決定的な理由です(考察や解釈抜きで完全に事実なので)。

 

理由2:「模倣犯

白銀の最後の発言により、V3はダンガンロンパの模倣を狙ったものだと推測できます。もし本当に模倣を狙い、かつ黒幕が植え付けならば、たとえ正規ルート(黒幕=赤松妹ルート)を外れたとしても黒幕の動機を「ダンガンロンパを続ける」ことにはしないと思います。ダンガンロンパにおける「絶望」の性質上、舞台の背景がどんなものであろうと絶望を黒幕の動機にすることは可能だからです。

 

理由3:自己紹介時の考えている描写

解釈の別れどころですが、もしここでこれからの首謀者としての自分の身の振る舞い方や運営方針を考えているのなら、植え付けである可能性は下がります。もし植え付けだったのなら、運営方針まで植え付けてしまえばいいという話になるからです。記憶を植え付けた人間に黒幕をさせるにあたって、運営方針を植え付けずに黒幕をやらせていた可能性がかなり低いです。ただの植え付け黒幕に運営方針を自分で考えさせるのは極めて危険です。

人工知能搭載のNPCという可能性は、コロシアイ環境下において「コロシアイは良くない」と学習した黒幕ほど劣悪なものはないので無いと考えています。

 

疑念1:プロローグ時にモノクマが居なかったのはなぜか

プロローグ時、赤松達はモノクマーズを見て「もしかしてダンガンロンパ(もしくはそれに近いコンテンツ)なのか?」と思っていて、かつダンガンロンパに良い印象を抱いていないような描写がありました。よって、もしここにモノクマがいた(自分たちがダンガンロンパに参加させられていると分かった)ら逃走や脱出を試みられた可能性があります。

 

黒幕が植え付けである可能性を排除したので、おまけとしてV3外の白銀つむぎという人間について考えます。(生誕祭なので……!!)

 

正直悪役である首謀者に、仮に本人が強く望んでいたとしてもチームダンガンロンパにとっての「会社の人間」を使うとは現実的に考えづらいです。「現実的に」というのは、白銀本人の生死や、生死問わずV3終了後の身分や生命の保険・保証など、メタ的なものです

なので前章も合わせて、白銀つむぎはチームダンガンロンパ(の前身的組織)に協力はしていましたが、社員ではなかったと考えられます。白銀の自由行動時の話も合わせて、チームダンガンロンパという「スポンサー」が、白銀のコスプレ(ダンガンロンパの模倣)に協力したと言っても妥当です。

よってV3外の白銀つむぎは、超高校級ではない(年齢的に)がかなり有名(スポンサーが付くレベル)なコスプレイヤーで、接待術を利用してチームダンガンロンパ(の前身的組織)に協力してもらってV3を決行したと考えられます。なのでV3世界においてダンガンロンパがフィクション作品、もしくはなんらかの線引きが行われている可能性は、白銀がコスプレ可能な事も合わせてかなり高いです

 

2.1を前提としたV3内の白銀つむぎの人物考察

ここからはV3内においての人物考察(解釈?)なので、思い出しライトによる植え付けの可能性などは考えないこととします。

 

基本的にダンガンロンパでは黒幕と主人公が対になっています(1と2では希望と絶望)。今までは対する内容が作品のテーマと一致していたので黒幕と主人公の対立、特に6章における希望と絶望の戦いが多く描かれていましたが、V3で対となる内容は思想である「ダンガンロンパを終わらせること」と「ダンガンロンパを続けること」です。

なので最大の対立である6章学級裁判は、希望や絶望は最終的にあまり議題に出て来ません。表面的に希望と絶望で対立しているのは視聴者代表であるキーボとダンガンロンパを続けるために絶望を背負っている白銀です。

そこから最原が「コロシアイを終わらせる」という想いを抱き、それが白銀の想いと対になったため、議論がそちらに発展していきました。最後のおしおきの時に笑っていないのは、彼女が絶望ではなくダンガンロンパを続けることを行動概念にしていた何よりの証拠とも言えるでしょう。

「すべてはダンガンロンパのため」が行動概念なので、同じ黒幕である江ノ島盾子と比べた時も、「混沌」重視か「予定調和」重視かで多少の違いが見られます。白銀、そしてチームダンガンロンパダンガンロンパを通して「予定調和の混沌」を届けようとしています。

 

ここで1と合わせて問題になってくるのが、「ダンガンロンパは53回も行われていたのか?」という問題です。1と合わせて考えるのなら、ダンガンロンパがこのような「リアルフィクション」を利用した運営形態をとってからずっと白銀はダンガンロンパに参加していることになります。仮に1回しかやっていないのなら、あそこまで「ダンガンロンパは終わらないんだよ!」と激昴する理由が分かりません。

「白銀はリアルフィクションダンガンロンパには最初から参加していた」という事と「V3は53とまではいかなくても何度かは行われていた」という事実を合わせて出てくる可能性が、「同じメンバーで何度もループしている」という説です。

 

根拠1:白銀が激昴する理由の判明

白銀の予測(予定調和)からの逸脱、自分の創り上げたダンガンロンパの終焉が理由となります。また、チームダンガンロンパが出来てからずっと参加している理由も分かります。

 

根拠2:提示する動機の正確さ

正確さというのは、特定の人間をクロもしくはシロになるように狙い撃ちにする正確さです。V3の動機は、過去の江ノ島盾子の用意した動機と同じくらいの正確さでした。もし同じメンバーでキャラ設定を固定して、被害者と加害者の組み合わせを含めた全パターンの動機を予め作っていたとしたらどうでしょう。

白銀の考えたシナリオ上死ぬ順に配布すればいいだけなので、ある意味素人である白銀にも簡単に運営ができるでしょう。この方法だと単純に計算して約20シリーズは被害者・加害者のペアが被らずに運営できます。なので、53回は盛ってるのではないかと考えることもできるでしょう。

 

根拠3:「彼女(白銀)のファンなんかいないだろうけどご愁傷様!」

さすがにファンがいないなんてことは無いだろうと思いますが、視聴者のコメントを見ると本当にいなさそうです。これが首謀者が交代制ではなく、白銀が延々と続けていたせいだというなら、この発言の意味がかなり理解できます。また、記憶を植え付けた人間に首謀者をやらせる危険性も間接的に分かります。

 

疑念1:プロローグのモノクマーズを見た時のリアクション

普通にゲームやアニメとしてあっただろう無印、スーダン等を知っていたらあのような反応はできるだろうと思います。また、そう仮定したら人によってモノクマーズに対するリアクションがバラバラだった理由が「ダンガンロンパを知っているか否か」だったと分かります。

 

疑念2:探偵の研究教室のファイル

53作という突飛な数字を納得させるための伏線だと考えられます。あれが無ければプレイヤーの我々も53作という数字を信じず、「本当に53作続いたのか」という考察が今より多く飛び交っていたと思います。そもそも嘘の伏線はこの作品には大量に出てくるので(思い出しライト)、ファイルの内容が嘘でもおかしくないです。実際、ゴフェル計画などは最原が追求していなければ真実として処理されていたでしょう。

 

ここではあくまで「説の紹介」とし、実際のところがどうだったのかはまたの機会にじす。かなり突飛な説ですが、V3外の白銀の考察と合わせて「首謀者が植え付けである」という説よりは納得のいくものになっているかと思います。あと需要はあるのかという疑念がある気がしましたが、1人のダンガンロンパファンとして必ず需要はあると思います。

 

苗木誠には希望、江ノ島盾子には絶望、日向創には未来があったように、白銀つむぎにとってはダンガンロンパはかけがえのない存在だったのでしょう。絶望ではなくダンガンロンパを愛していたからこそ、おしおきでの表情が虚無だったと今では分かります。

ダンガンロンパの終わりを描くには、基本的にはダンガンロンパを論破していくしかありません。その点白銀は、江ノ島盾子が「絶望」を背負ったように「ダンガンロンパ」を背負ったとも考えられるでしょう。

【考察・解釈】ダンガンロンパと「超高校級の絶望」の歴史

ダンガンロンパおよびそのナンバリング作品に関わる重大なネタバレが含まれています。どれか1つでも未プレイの方はゲームショップに走って行って下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本記事は、江ノ島盾子とダンガンロンパの歴史を振り返り考察するものです。

考察範囲は、江ノ島盾子が登場している無印(1).2.ゼロ.絶望編.(一応)V3までとします。絶女は少し悩みましたが微妙なラインのうえあまり書くことがないので省きます

 

 

 

①絶望編とゼロ

時列系としては、絶望編と同時軸にゼロがあった考えています。

入学前の彼女の様子からして、1年目は絶望させる対象や材料を用意し、どのようにして世界を絶望に叩き込むかを考える時間として費やす予定となっていることが予想されます。また、ここでは彼女が未知の絶望の種に期待、つまり希望していることも分かります。「絶望を希望する」という現象については後述します。

そして入学後、彼女はカムクラ、御手洗、罪木の3人と「運命の出会い」を果たします。実際に江ノ島盾子が「運命の出会い」と言ったのは御手洗だけですが、この3人のうち1人でもかけたら、今後の展開は約束されません。希望ヶ峰学園、およびダンガンロンパにおける「江ノ島盾子史」は、ここから始まったのです。

そして、その3人との出会いにより、彼女は「予備学科」「77期生」という二つの駒を手にします。おそらくこの時点で、78期生によるコロシアイとその放送は決定していたでしょう。人類を絶望させる計画に、「黒幕の同級生」を使わないのはもったいないという考えからです。

 

・なぜ手駒として77期生を選んだのか?

もちろんたまたま罪木と会ったからというのもありますが、それだけではありません。彼女は、いかにも皆で仲良くしていそうな彼らの写真を見ています。それと同時に、七海が皆のリーダー的存在であるという事も知ります。その瞬間、七海を殺せば皆絶望するに違いないと、江ノ島盾子でなくても分かるはずです。

 

また、彼女は布石と保険として、急遽「雪染ちさ」という駒も手に入れます。元々雪染が手駒になる予定ではなかったのは、絶望させる過程の無理やりっぷりから分かります。江ノ島盾子は、ここで初めて希望ヶ峰学園OBによる抵抗、つまり人類史上最大最悪の絶望的事件の後のことを予測内に考慮しています。実際にこの後も逆蔵を潰しに行っています。宗方の周りを潰すことで、彼を後の「絶望の種」として育てたと言ってもいいでしょう。(ポケモンのみらいよちっていう技みたいな攻撃方法なんですが伝わりますか…?)

そして予備学科という手駒を「希望ヶ峰学園史上最大最悪の絶望的事件」という動力で動かし、希望ヶ峰学園を内部から破壊します。ここで予備学科という駒もロストします。また、77期生という手駒を「七海千秋の処刑」という動力で、人類史上最大最悪の絶望的事件へと進めます。ここで「雪染ちさ」を温存するのは、今後希望ヶ峰学園OBが出しゃばってくる事を予測した上での戦略です。

 

また、絶望編~ゼロまでの間に忘れてはならないのは、戦刃むくろと松田夜助の存在です。彼らの事は、本記事ではまとめて「理解者」と呼びます。もちろん、言葉通りの意味ではありません。江ノ島盾子のことを理解できる人は、「超分析力」を持つ人物しかいないからです。

絶望を好むだけでは、江ノ島盾子を理解することはおそらくできません。(塔和モナカなどがそうだと考えています)彼らはあくまでも、江ノ島盾子を理解しようとした人物です。

本来、幼なじみや双子の姉である二人は、いつ殺されてもおかしくない状況です。よって本編中では、その役目を終え、かつ彼女が絶望的だと思った瞬間、2人は殺されています。

松田の死に関しては時列系が難しく(私が理解できてない)、はっきりとは言えないのですが、タイミング的には七海が処刑される前のあたりだと思われます。江ノ島盾子の完全復活=七海の処刑や予備学科の絶望ビデオによる殺戮等ができるようになる、ということだと考察しているからです。

 

江ノ島と松田、77期生と七海の関係性は、恋慕だったり信頼だったりで種類は違いますが、親しい人である事には変わりないでしょう。そこで、江ノ島盾子が77期生達に対して「親しい人を亡くすなんて、絶望的っ!」なんて考えていたとしたらどうでしょう。

簡単に言えば、「あっ〇〇ちゃんのあれ(絶望)いいな!欲しい(味わいたい)!」という感覚です。この事は、クラスメイト同士が殺し合う空間に姉や自分が死ぬ絶望を想うことと同じだと言えます。彼女は、未知の絶望に希望して、数少ない理解者を殺してしまったのです。

 

言うまでもない事ではあると思いますが、この一連の流れがあったせいで、江ノ島盾子は77期生をかなり軽視し、「メンタルが弱い」「依存性が強い」等、弱い印象を抱いています。このことを踏まえてスーダンをやると、また違うものが見えてくるのではないでしょうか。

 

 

ダンガンロンパ無印

そして、ついに江ノ島盾子は人類史上最大最悪の絶望的事件の口火を切り、自身は78期生として旧校舎へ残ります。シェルター内に黒幕がいるので、この時点では事件を収束させることはできません。

江ノ島盾子にとっては、78期生のコロシアイの運営ができ、捕まらないという意味で一石二鳥です。この事件を収束させるには、彼女の殺害もしくは更正が必要となり、それができるのは残された78期生しかいません。

コロシアイの内容に関して言えば、黒幕は「少し有利」程度だったでしょう。一応クラスメイトだったので弱味は把握できていますし、結束力もたいして強くありません。「少し」というのは、スーダン時に比べてと、苗木誠という不安要素があるからです。

この「少し」を埋めるために、本来必要無い(動機によって舞園さやかが口火を切っていたであろうから)「裏切り者」の用意や、苗木誠の襲撃等を行っていました。よって、江ノ島盾子を78期生が倒せる確率は格段に下がっていました。この僅かな可能性を掴み取ったのが、「超高校級の希望」苗木誠なのです。

自分の肉体を持つ彼女は、ゲーム内ではこの時の活躍が最初で最後です。よって、「絶望」面においてこの時の彼女は最凶の存在です。そんな人物を打ち破ることができた人物は、やはり最強の「希望」を持つ苗木しかいませんでした。この2人もある意味「運命の出会い」なのです。

また、彼女はここで自分の肉体を失います。これはとても大きな損失となるので、これ以降彼女は自分の肉体を手に入れるための行動に出ていきます。また、超高校級の希望との出会いにより、人格や倫理観に多少の変化が見られています。

彼女は自分で自分のことを「負けた」と言っていますが、これは即ち「絶望が希望に負けた」という意味になります。このことで彼女は更正するわけでもなく、絶望とルールに乗っ取って自分を処刑しています。おそらく江ノ島盾子(絶望)の肉体を殺すには、この「オシオキ(絶望)による処刑」しか方法が無かったでしょう。

 

無印で重要となるのが、ここが「ダンガンロンパ」のはじまりである、という事です。当たり前の事のように思いますが、私が言いたいのは「江ノ島盾子と苗木誠の希望や絶望は、ここから拡がり始めた」という事です。

苗木誠の希望が拡がり始めたのは言うまでもないと思います。江ノ島盾子は確かに亡くなりました。しかしそれにより、外の絶望愛好者達に大きな絶望を与えたと言っていいでしょう。その絶望もまた、ここから拡がり始めたのです。

希望は絶望に打ち勝つことで拡がり、絶望は「絶望の象徴」である江ノ島盾子が死ぬことによって拡がります。拡がりが収まるのは、それぞれが完全な死を迎えた時です。ここは後で詳述します。

この希望や絶望は、V3の世界までずっと拡がり続けています。

 

・突然の江ノ島盾子の死。彼女はその時幸せだったのか?

まず、彼女自身がこの死を幸せだと感じる理由は、「死の絶望を味わえる」「もう絶望を希望しなくて済む」の2つです。彼女の死が本当に本人にとって幸せだったのかを考察する場なので、考察しようのない前者はとりあえず飛ばし、後者のみ考えます。

絶望を追い求める彼女にとって、「自分は絶望を希望しているのではないか」、すなわち「自分が追い求めているものは絶望なのか希望なのか」という悩みは切り離せない存在です。この答えは死後も出ていません(江ノ島アルターエゴの最後の発言より)。

ですが、このタイミングで苗木によって自分の絶望が打ち砕かれかけます。元々混沌、つまり予想外を求めていた彼女にとって、その瞬間苗木誠はとても興味深い人物になっていたでしょう。もし彼女が生きていたら、彼≒希望に興味を持つ可能性もあったかもしれません。

 

そのタイミングで、彼女は絶望のために自らをオシオキしたのです。彼女がこの死を幸せだと感じない理由は、「新たに興味を持ったものを追い求めることなく死ぬ」ということです。

しかも、スーダン江ノ島アルターエゴの態度を見る限り、死の絶望を喜んでいるようには見えませんでした。これは一般的に考えて、絶望に興味が無くなったか死の絶望が薄い、もしくは無いことが考えられます。

もちろん江ノ島盾子の場合は後者です。1に比べて絶望への執着が薄いようにも見えますが、絶望を好む人物がダンガンロンパを運営しなければ物語の構造がV3のようになる(あくまで予定調和でいようとする)ので、絶望への執着はあります。

 

つまり、1の江ノ島盾子のオシオキの時は、理由の個数と重要性で幸福感が勝り、彼女は自らオシオキしました。しかし、オシオキ後、江ノ島アルターエゴになってからはオシオキを幸せだと感じる理由が1つ減り、同じくらいの重要度の理由が1つずつ残りました。

よって、江ノ島アルターエゴは死の絶望、つまりオシオキが自分にとって幸せだったのかという答えが出せていません。もし分かっていたらそれなりの反応、例えば幸せなら1のような態度をとるからです。

この疑問点は究極まで進むと、「もう絶望を希望しなくて済む」と「新たに興味を持ったものを追い求めることなく死ぬ」という2つの意見の議論スクラムとなります。どちらが生前の江ノ島盾子にとって重要か、生前の彼女のデータしか残されていない江ノ島アルターエゴには判断しかねます。

新たに興味を持ったものを追い求めることなく死ぬ事は、彼女なら「絶望的だわ!」とでも言いそうですが、本作中では彼女なそんな事を言っていません。自分で気づいていなかったのか、希望に興味を持った自分に嫌悪感があったのか、死んだ今は分かりません。

 

よって、この疑問点の答えは「解釈次第」とも言えるでしょう。もし答えを出すとしたら、ここまで書いたものを事実とし、他のデータを参考にしつつ解釈していくしかありません。

(ここからしばらく私の解釈なので読み飛ばしてもらってもかまいません)

確かに彼女はこの死を絶望的、つまり幸せだと感じていました。しかし、死の瞬間に分からなくなり、後にアルターエゴが彼女の思考を元に考察していくう不幸な死だったのではないかと考えるようになったように思います。彼女がプレスされる瞬間、急に真顔になるという有名なシーンがあります。ファンの間ではよく、「オシオキにも飽きたから」と考察されています。私もそう考察しています。

しかし、ダンガンロンパの世界においては、「オシオキ≒絶望」という方程式が成り立つのではないでしょうか。そうすると、彼女は絶望に飽きたということになってしまいます。これには苗木誠に魅せられた希望が影響していると思われます。

彼女の中では絶望への興味は段々薄れてゆき、希望、というよりは苗木誠に移っていきました。スーダンで苗偽が登場したり、1よりもパワーダウンしているような感じは、それが故なのではないでしょうか。

実際、スーダンも本来は未来機関、つまり苗木誠をプログラム世界へとおびき出すためのものでした。これも、苗木誠以外だったら来なかったものでしょう。彼の強い希望が、プログラム世界へ飛び込む勇気となりました。その時江ノ島盾子が、心の中では喜んでいたとしたらどうでしょう。彼風に言うなら、「僕達みたいなゴミクズを救い出すためだけに命を投げ出すなんて、なんて希望なんだ!」という事です。

 

このセリフ、江ノ島盾子の「絶望的だわ!」にも読み変えられるような気がしてなりません。絶望と希望はすれすれ紙一重。彼女もそんな紙一重な世界に囚われ、自分の理念を覆さぬよう努力したうちの一人なのです。

またこのことより、江ノ島と狛枝は対照的だから嫌っているのだけではなく、同族嫌悪もあるのではないかという考察も可能になるでしょう。

 

 

スーパーダンガンロンパ2

話が私の予想になってしまったので元に戻します。次は時列系的にはスーダンです。スーダンでは、江ノ島盾子に関しては脳、つまりアルターエゴのみの登場になります。脳のみなのに77期生をあそこまで追い込めたのは、舞台がプログラム世界だったことと、77期生全体の平均的なメンタルの強さと関係しています。

元々絶望させたことのある(とてもよく知っている)人達であるうえ、狛枝凪斗という1歩踏み間違えれば協力者のようになりかねない人物もいます。彼女にとって、このコロシアイは有利すぎるものでした。

 

今回のコロシアイに関しては、七海千秋が大きな脅威になっています。献身的に他の人に希望を振りまく存在は、苗木誠ほどの力は無くとも邪魔だからです。また、あまり権限が無いとはいえ、彼女は裏切り者、つまり未来機関の手先でもあります。プログラム世界を完全に乗っ取るために、彼女およびモノミは最終的には死んでいてほしい存在でした。

絶望編で、77期生は七海千秋の死によって絶望しています。彼女の死は、そういう意味でもこの計画を完成させるために必要不可欠だったものだと思われます。

そこで、4章時点で狛枝に真実の一部を伝えたのです。裏切り者をクロとした殺人計画を立てさせることで、彼女は自らの手を汚すことなく未来機関を始末することができました。そもそも今回は肉体が無い(プログラム世界なのでなんとかなるのかもしれませんが)ので、5章の苗木誠襲撃のような事はできませんでした。

 

今回のコロシアイの目的は、苗木達を呼び出すだのなんだの言っていますが、とどのつまりは「自分の肉体を手に入れるため」です。上記したとおり、肉体の有無は人類絶望化の成功に関わる問題だからです。苗木達が来てプログラム世界に閉じ込められたらそれはそれでラッキーくらいのものだったでしょう。

苗木たちが来たことと、日向がカムクラと七海の力で復活・強化されたことにより、江ノ島盾子の頭脳、アルターエゴが破壊されます。

しかし、これでも彼女は完全に死んだわけではありません。彼女の概念である「絶望」、または「ダンガンロンパ」は消えていません。もっとも、世界から希望や絶望を消すことは不可能なので、ここでは概念=ダンガンロンパということにします。

 

・「絶望を希望する」という現象

先程も書いた通り、江ノ島盾子にとってこの疑問は切っても切れない存在です。元々「絶望と希望」という対比であり紙一重な世界、つまりダンガンロンパの世界で生きる人間達は、「希望を追い求めて(真実に)絶望する」「絶望することを希望する」などの壁にぶち当たります。

もちろん、江ノ島盾子もその1人です。絶望を追い求める彼女にとって、その考え方は希望以外に唯一邪魔な存在でした。それは希望を追い求める苗木誠にとっても、日向創にとってもそうです。

最終的に苗木誠は、大きな希望を持ったからこそその壁を引きずりながら希望を背負いましたし、日向創はかつて大きな希望にも絶望にもなってしまったからこそ、絶望を背負いながらも希望を持って生きる決断ができました。

江ノ島盾子も自らが絶望の象徴となり、壁を無視して絶望を背負い、世界中に絶望を振りまいていきました。ダンガンロンパ世界における「強い人物」は、壁をも無視して自分が正しいと思った概念を背負って生きていける人達なのです。またこの「強い人」には、赤松楓も該当します。

 

それを前提として言えることとして、希望を求めることと絶望を求めることでは、絶望を求める方が圧倒的に困難で、精神的な障害も大きいということがあります。

「希望を追い求めて絶望する」という現象の解決方法は至って簡単です。自分の絶望以上の希望を持てばいいからです。実際に、作中でも大きな希望を持ったことで、苗木や日向は絶望を打ち破っています。

ですが、「絶望を希望する」現象の解決方法は無いと言ってもいいでしょう。自分の持つ希望以上の絶望を持つことを、さらに希望してしまうからです。ダンガンロンパの世界で絶望を追い求めようと思ったら、その問題を引きずりながら歩まなくてはいけないのです。

唯一この問題の解決策と言えるのは「絶望を希望する自分に絶望する」ことですが、作中で彼女がそのような思考に至っている描写は見受けられません。もとより、ダンガンロンパの世界で絶望を好んで追い求めている人物は江ノ島盾子しかいません。なので、この問題はあまり作中では扱われていません。

 

我々が想像する江ノ島盾子なら、絶望を希望する自分に絶望することくらい、やりそうな気もします。ですがもしかしたら、自分のアイデンティティである絶望と正反対の希望には、絶望的な感情ではなくただの嫌悪感を向けていたのかもしれません。

また、1~アニメ3に生きる人間にとって、「希望も絶望も放棄する」という決断は逃げだったとも言えます。数多の一般人がそうですし、塔和モナカもそうだと言えます。この考え方を打ち破ったのがV3、及び最原終一なのです。

 

 

ニューダンガンロンパV3

当然のことですが、この作品に「江ノ島盾子」は出てきていません。ですが、江ノ島盾子はまだ完全には死んでいません。上記した通り、「概念」であるダンガンロンパはまだ生きています。

希望の象徴である苗木誠の希望が伝染し、残っている中で、彼女の絶望もまた伝染し、残っていたのです。プレイヤーが希望、首謀者が絶望(ここではあくまでエンターテインメントとしてダンガンロンパを成立させるために絶望を持っていたとし、世界を絶望させるためではないとします)を持っていたからこそ、ダンガンロンパは続いていました。

V3の頃におけるダンガンロンパの効果は、「世界に希望と絶望を広げる」事と「予定調和な世界に混沌を届ける」事です。ダンガンロンパ江ノ島盾子の絶望を伝染させると共に、苗木誠の希望も届けていました。(というより、希望を伝染させる方が比重が大きかったような気もします)

後者の「予定調和な世界に混沌を届ける」事は、江ノ島盾子がやりたかった事と酷似していると言っていいでしょう。彼女の場合は世界を混沌させ、チームダンガンロンパの場合は画面の向こうの混沌した世界を視聴者に届けていました。このことからも、「彼女の概念は生きている」と言えます。

この事から、ダンガンロンパはある意味苗木誠と江ノ島盾子の代替のようなものだったとも言えます。普通なら苗木誠のみにしたいところですが、ダンガンロンパは大きな絶望が無いと成り立たないうえ、視聴者は混沌を求めているので、必然的に江ノ島盾子の絶望も広めることになってしまっています。

 

人工的に才能や人格を植え付けられるような世界なので、苗木誠や日向創のようなレジェンドはいくらでも創れます。もちろんもし首謀者も植え付けられるのならば、江ノ島盾子のような首謀者も創れます。

なので無印や2のような結末は腐るほどあったでしょう。そんなある意味予定調和な世界の中で起こった最後の混沌が、「江ノ島盾子の概念殺し」、つまり「ダンガンロンパ終結」だったのです。

江ノ島盾子の概念を殺すということは、苗木誠の希望の伝染を途絶えさせること、つまり「苗木誠の概念殺し」とも同じです。外の世界からすればある意味大きな損失だったでしょう。ですが最原達はここで彼女を完全に殺し、この世から「江ノ島盾子」を消し去りました。もうそこに、「希望ヶ峰学園」も「絶望の残党」も「チームダンガンロンパ」も存在しないでしょう。

 

・まとめ ダンガンロンパは「江ノ島盾子が死ぬまでの物語」でもある

無印~V3を振り返って分かるように、ダンガンロンパのゲームナンバリングタイトルでは必ず江ノ島盾子が死にます。無印では「肉体」、2では「精神」、V3では「概念」。さらに絶望編やゼロでは、彼女の視点を描くことによって彼女の考えをよりわかりやすく表現しようとしています。

また、これは死んでこそいないものの、苗木誠にも同じことが言えます。ゲームナンバリングタイトルで、生身の彼が出ているのは無印だけ、2は精神(アバター)、V3は概念(強い希望)のみです。(2エピローグはアニメ3との繋ぎ目なんで許してください)

無印の時に書いたように、希望は絶望を打ち破る事で拡がり、絶望は江ノ島盾子が死ぬことによって拡がります。スーダンの時まで、「絶望の象徴」である江ノ島盾子は肉体、精神と少しずつ死を迎えていました。そしてV3でついに、「ダンガンロンパ」という概念が死を迎え、希望と絶望の拡がりは終焉を迎えました。

 

狛枝が「一歩間違えた苗木」と言われるように、希望と絶望は紙一重であり対です。これと同じように、苗木誠と江ノ島盾子も紙一重=似た者同士であり対だと言えます。

二人とも希望や絶望の発信源なので、江ノ島盾子のいない外の世界で絶望の残党が大暴れしたり、苗木誠のいない2の6章以前やV3でキャラクターが希望を持つという事が普通にあります。それは、彼や彼女が死んでからも同じです。

概念殺しは、肉体や精神を殺すことよりとても難しいものです。なので、江ノ島盾子を殺すには「ダンガンロンパや苗木誠の希望ごと殺す」しかなかったのです。

 

江ノ島盾子が死ぬ時」=「苗木誠が死ぬ時」、つまり「ダンガンロンパが終わる時」

 

【感想・考察】キミガシネ1章の実況を見ました

フリーゲーム「キミガシネ」のネタバレを含みます。未プレイの方は気になったらぜひ検索してやってみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実況見た勢の身分で書きますごめんなさい。見終わったばかりだし2週目を見るSAN値がないのでところどころ違うところがあるかもしれません。全然落ち着いてないので殴り書きかつ時列系バラバラで見にくいかもしれません、箇条書きで書くので許してください

 

私にあんなばりくそ怖いゲームやる勇気なんかなかった。ああいうドッド絵のゲーム逆裁レベルでもだめなんですよわかります??(わからん)

ちょっとTwitterじゃ書ききれないうえネタバレを安易に呟けないのでこっちで書かせてくださいってことです。感想考察入り交じりながら書きます。

 

まず言わせて。

 

ヤバくね?

あんなクオリティ高いゲーム無料でやっちゃっていいの?おかげで今別ゲームの考察書いてたのにこんなの書くことになっちゃったよ。

 

・まず冒頭のあのシーン。なんか自分視点で手が出てたけどあれがどういうことかさっぱりわかりません誰か教えて。正直最初の方はストーカー視点だと思ってたけどさすがにないよね?

 

・からのサラとジョー…(しんどい)。というかただのクラスメイト、友達と二人きりで帰ることなんてある?私が陰キャだから感覚が違うだけ?2人幼馴染とかだったりする?とか色々考えました。考えました…(しんどい)。

 

・「ストーカー注意」の張り紙は本当にごめんなさい、パッと見女の子だと思いました。でもあれだけ写真も張り出されてて今まで捕まらなかったのが不思議。ストーカー=誘拐犯側orサラを守る目的だった説ワンチャン?

 

・結局お母さんがなんで倒れてたのかとか分かってませんよね?部屋に仕掛けがあるのなら母まで巻き込む必要はなかったと思うんだよな…。お母さんは誘拐犯側の人間と会っちゃったのかな?

 

・あとこのタイミングでジョーはストーカーと戦ってるんだよね?じゃあなんでカイさんを見た時に何も言わなかったんだろう。サラに気を使ったのかな?それか別人だったけどストーカーだと思い込んだだけ?

 

・最初の脱出ゲームはなんなの?私そこまで自分でやってたんだけどゲームオーバーになって、サラちゃんの体と私のメンタルがいっぺんに折れました。なにあれ(超褒)このシーン、他のグループのこと考えるともう…

 

・そして自己紹介シーン。私がサラちゃんならソウくん見た瞬間に「あっ!怪しすぎて逆に怪しくない人やん!」って指さしてた。ケイジさんの立ち絵がめちゃくちゃ好みで死んで欲しくねえなぁと思った。でも絶対死ぬ気がする

 

・カンナちゃんのお姉さん、回想の中では恨みの感情があるっぽかったけど本当のところはどうなんだろう?献身的な姉だったと信じたい  黒幕側とかさすがにないよね?

 

・試練発表。内容聞いた時はタイトルっぽくなくね?って思ったけど、全部黒幕側の手のひらの上だったと思うと胸糞。ソウくんと行動することになってばりくそ警戒したけどこの時は何もなかった。この時は

 

・実弾来た時はうっへぇJKに何させるつもりなん?って思ったけどそんな事よりソウお前なんなんだ…。実弾かそうじゃないかがわかる時点で何者か探るべきだと思う

 

・ケイジさん嘘か本当か分かんないけど経歴激重やん…。人を撃ってトラウマ持ちで上司(?)亡くなってるって盛りすぎじゃね?その飄々した感じも合わさって現時点でトップオブしんどいキャラ。すき。絶対死ぬ

 

・確実に頭を撃ち抜くJK、サラ(侍)。Q太郎さんは脳筋枠だと思ってたけど評価を変えるべきかなと思った。というかこのゲーム、良い奴多すぎない?ヘイトが全部ソウくんに行きそうで少し怖い

 

・ミシマ先生が思ってたんと違って死亡フラグだとか1ミリも思わなかった…。ただの仲良くなるフラグだと思うじゃん?そういえばこれデスゲームものでしたよ

 

・ソウくんずーーーーーっといないんだけど何やってんの?怪しすぎて怪しくない枠だと思ってるからただのお花摘みだと思いたい。

 

・なにがチュートリアルだと思いながらの投票タイム。私はもし実況じゃなかったら当然のようにソウくんに入れてたんだけどマジかよ…………あんたか先生…………。「冗談ですよ」の声をどれだけ待ったことか

 

・首が締められるとか切れるとかだと思ってたら焼ける……………………だと………………??????焼死ってめちゃくちゃきついって聞いたことがあるんですがそれは

 

・カイさんかっこよすぎん…??????なんでこの人人気あるんやろ少なくとも今の私の中ではただのストーカーやで?って思ってたけどそういうことか。「人形も血は赤いんですね」はカイさんが人を殺したことがあるって事なのかミシマ先生との比較なのか気になる

 

・「ナオとギンを見守るケイジさん」っていうグラフィックがめちゃくちゃ心に来た。今はまだ数人部屋に残るだけだけど、ここから進んだら人が死ぬ時の精神的苦痛が重くなるんだろうなと思ったら胸糞。

 

(このへんからちょっとあやふやです本当に申し訳ないです)

 

・鍵番カード、最初は脱出ボタン的な存在だと思ってたら役職だったのね…。鍵番や賢者はまだしも身代ってめちゃくちゃ不利では?もう完全にジョー狙われてたよね…しんどい…

 

・ここらへんでレコの優しさに気づいた。この子こそヘイト集め(少)みたいなキャラだと勝手に思ってたけどやっぱこのゲーム良い人多すぎん…?(2回目)もう全員死ぬんじゃないかなって気がしてきた。ところでカンナちゃんの着替えた服はどちらへ

 

・アリスさん出てき方怖すぎん?死体かと思ったしあの瞬間だけでも前回の生き残りとかかなって色々考えてしまった。時間を返せアリス。正直山田権兵衛(合ってるよね?)は信じてなかった

 

・ナオちゃんの壊れっぷりがもう。Twitterでは色々言われてたけどただ気を取り乱しただけだと思うんだよな。恩師の首を持って逃げ回るっていうシチュエーションが性癖にとても刺さった。

 

・あの仮面みたいなやつ、ちっちゃい頃だったら絶対トラウマになってる。サラがボタン押しながらケイジさんが光を当てればよかったのではと未だに思う。

 

・ナオに関わったら死ぬみたいな風潮がガチで怖い。真偽は別にして、そういうジンクスを作っちゃって次の章でギンあたりが死んだ時の私のメンタルが心配。

 

 ・私絶対「素性がわからん」とかいう理由でアリスが殺されると思ってたんですよね身代とかで2人死ぬ可能性があると気づいたのはめちゃくちゃ後でした。というか殺人鬼だぜ?いいじゃんこいつで………………………………(アリス推しの方ごめんなさい)

 

・決選投票前のジョーの不穏さといったらもう…。でも当時の私はいやまさか一番最初に死ぬわけねえだろこいつヒロインやろ?って思ってた  前向きだった

 

・カイさんを賢者だと言った後はもう遅いんだよなって思った。カイさんを指名したせいでジョーもカイも亡くしてるもんな…。他が死んで二人ででるのとどっちがいいかって言われたら微妙だけど

 

・ジョーが最後まで良い奴すぎん?多分サラちゃんがカチカチしまくってた時もサラちゃんのことを哀れに思ってたんだろうなと思うと…

 

・銃の時はQ太郎さんに投票したのに今回ははっきり「あなたに託します」って言ったカイさん…。こんな空間の中で信頼度を上げれる二人の関係性が本当に好き。結局ストーカーはしてたけど守るためだったとかいうオチになんないかなぁ

 

・とりあえずジョーとカイさんにもっと出番をください。黒幕側以外で

 

 

【考察】ニューダンガンロンパV3と首謀者の予測

ニューダンガンロンパV3の重大なネタバレを含みます

 

 

 

 

一周年を過ぎてしまいましたが、ここでV3を首謀者の視点で振り返らさせてください。「ニューダンガンロンパV3」と「首謀者が脳内で描いていたダンガンロンパ」を比較し、首謀者はどうするべきだったかという観点で考察してみました。

サブタイトルは「チームダンガンロンパ大反省会」です。

 

・前提

首謀者があらかじめ行っていた予測上では茶柱と夢野とアンジー、最原、春川、キーボ以外は死ぬ・殺す動機を持っているので必ず死にます。ですが、百田を除いて後半になるほど確実ではなくなっていきます。「茶柱と夢野とアンジー」については3章で説明します。

天海…生存者特典

赤松…デスロード、タイムリミット、最原の存在

東条と星…動機ビデオ

真宮寺…かごのこ

入間…新世界プログラム

ゴン太…王馬の存在

王馬…外の世界の真実

百田…病気

白銀…首謀者

 

後半になればなるほど首謀者の予測から外れそうになるため首謀者自身がテコ入れを行っていきました(カードキー、5章の思い出しライトなど)。

最終的に首謀者の事前の予測通りになったのは、(テコ入れをした)1章と2章と6章時点での生き残りメンバーのみです。

 

江ノ島盾子はその「超高校級の分析力」でほぼ思い通りにコロシアイを運営できますが、白銀はそれには劣ります。なので、コントロールできない一部を偶然や運などのいわば「第三者」に頼る必要がありました。ただし、思い出しライトの記憶によって人を動かすことについては首謀者がテコ入れを行ったと考えます。

首謀者が第三者に頼ったのは以下の通りです。これらも後から詳述します。

 

・赤松の砲丸トリックの成功

・真宮寺がかごのこの準備をしているところに、アンジーが遭遇すること

・王馬がカードキーを奪い取って1人で外の世界の真実を見ること

・最原が5章トリックを解き明かすこと

 

また、江ノ島はアドリブに強い(予定調和を嫌う)ですが、白銀はアドリブにめっぽう弱いです(予定調和を好む)。つまり、江ノ島はアドリブを好んで受け入れますが、白銀は自分の予測と同じようにV3を運営したがります。優等生なんだから、もう…

 

モノクマと首謀者は一応協力関係にありますが、完璧にサポートすることはない関係(モノミと七海のような関係)だと仮定します。また、モノクマは首謀者のサポートを受けることなく活動できます。つまり、「上司」のような立場であるモノクマはその気になればいつでも首謀者を裏切れたのだということです。

 

モノクマはAIであるという確定真実がありますが、彼の性格は過去作に準ずるもので、ダンガンロンパを終わらせないために行動しているものであるとします。つまり、江ノ島盾子のような性格ですが、コロシアイを終わらせない(なるべく予定調和である)ようにしているという矛盾を抱えています。




・1章

プロローグで最原と赤松をロッカーに配置し、天海に生存者特典を与えたことにより、途中まではほぼ完璧に首謀者の予測したシナリオ通り進んでいきました。

 

また、タイムリミットを設定したことも首謀者のシナリオ通りだと考えられます。そもそも赤松のような前向きな人間を投入した時点でコロシアイが起きにくいことは明確ですし、赤松がタイムリミットまでに首謀者(図書室に来た人物)を殺そうとするのは上記の動機によりほぼ確定していました。

 

しかし、赤松が砲丸を使ったトリックを考えた時点で、首謀者はこのトリックの失敗を懸念します。また、タイムリミットを設けて突発的に計画を立てさせたことにより、トリックが失敗した時の対策の準備を急ぐ必要性が出てしまいました。

 

さらに、もしタイムリミットが無かったらここで無理やり自ら天海に手を下したり、赤松に罪を被せたりする必要はありません。赤松を追い詰めるために設定したタイムリミットは、最終的に首謀者自らを追い詰めることになってしまったのです。

 

結果、赤松の砲丸トリックは失敗。自ら手を下し、赤松に罪を被せることになりました。しかし首謀者は、この冤罪事件はのちのち、自分が首謀者であると暴いてもらえるきっかけになると考えます。首謀者である自分の正体を暴いてもらわないと、ダンガンロンパが成立しなくなるからです。だから学級裁判ではトイレに行ったことと、その場所をアピールしたのです。

 

また、モノクマはこの状況をとても不服に思っていたでしょう。4章で「あのバカが天海くんを殺しちゃったからね」のセリフは、首謀者に向けられたものだと考察しています。仮に赤松に向けられていたのだとしたら、「バカ」と言う理由が分からないからです。いつでも裏切れる立場だったモノクマがここで裏切らなかったのは、やはり「コロシアイを盛り上げる」という矛盾を抱えていたからなのです。

 

・2章

2章は、動機ビデオによって確実に死ぬ・殺す動機を与え、ほぼ完璧に首謀者の予測通りになりました。この章では、首謀者の「殺す動機以外にも死ぬ動機を与え、確実にシロ・クロの関係を作る」という、堅実にコロシアイを運営するためのスタンスが明らかになります。

 

首謀者は、星の研究教室・プール・体育館の位置関係などの施設設定や、夢野の研究教室の設備などの設定を自ら行うことにより、狙ったメンバーに確実にコロシアイをさせるための空間を提供しています。そうすることにより、首謀者は円滑にコロシアイを運営できるほか、犯人・被害者だけでなく、使われる凶器や殺人方法までもをあらかじめ予測することができます。

 

このため、V3においては被害者・加害者関係なく「誰が死ぬか」がエリアが開放されるごとに予想できるようになっていました。研究教室が出る順番もその一つと言えますし、3階が開放された瞬間に(アンジーちゃん絶対死ぬやん…)と思ったのも私だけではないはずです

 

また、この章で唯一予測から外れたのは「昆虫でなごもう会」の開催です。しかしこの会は、夜時間の皆のアリバイを複雑にし、裁判を盛り上げてくれました。首謀者にとっては嬉しい予測外れだったことでしょう。

 

 

・3章

例のソルトをはじめ、エンタメ・箸休め扱いされがちな3章ですが、個人的に3章はV3のターニングポイントになっていると思います。これが言いたかったからこのブログを開設したと言っても過言ではありません。

 

3章は、首謀者の予測というよりは理想、願望通りとなった章です。安定した運営よりも欲、つまり「ダンガンロンパの模倣」を狙ったことにより、最終的にダンガンロンパを終わらせてしまうことになります。

 

江ノ島盾子の場合はアドリブに強いため、そのようなことが許されます。しかし、白銀は江ノ島ほど首謀者として完成していません。江ノ島以外の人物が首謀者・黒幕を行う時は、必ずあらかじめ予測やシナリオを建設し、それに準じてコロシアイを運営するべきなのです。

 

今まで「死ぬ・殺す動機」を確実に与えることによって自分の予測通りにコロシアイを運営していった首謀者ですが、今回の動機である屍者の書は、真宮寺にかごのこ(女性を1人殺す)をさせるためのものです。真宮寺に植え付けた記憶と、屍者の書とかごのこが出たことによって、真宮寺が女性を殺す事は確実なものとなりました。

 

よく存在の意味などを考察されがちな屍者の書ですが、私は屍者の書の効果である死者の蘇りには大した意味は無いと考えています。むしろ、元から蘇りの儀式を行う前に殺人を起こさせ、裁判後に回収する予定だったのではないでしょうか。

 

「実は皆生きているかもしれない」と言うアンジーに、真宮寺が「じゃあかごのこで死者を呼び出してみよう」と言ってもおかしくありません。かごのこを行えるセットがあるのなら尚更です。かごのこは、真宮寺にとっては凶器と同じようなものだからです。元から真宮寺もそうする予定だったのでしょう。だから、いつでもかごのこを行えるように、茶柱を殺す前からシーソートリックの準備をしていたのです。

 

また、今回は首謀者は被害者までは予測していません。少なくとも、かごのこによって茶柱・夢野・アンジー(生存者の中から入間・春川・首謀者を除いた女性)の中から誰か1人死ぬということが確定しているだけです。さらに、もう1人確実に殺させる・死なせる動機を首謀者は用意出来ていませんでした。かごのこの場合は2度行うことはまずないからです。元々3章の被害者は1人の予定だったともとらえられます。

 

そこで頼ったのが、「かごのこの準備をしている真宮寺とアンジーが遭遇する」という偶然です。模倣犯である首謀者は、この「3章」と呼ばれるタイミングで、シナリオ上に無い被害者をもう1人出したかったのです。2人犠牲者が出るということがシナリオに無かったのは、動機が用意されていない時点で明らかです。また、2人目の犠牲者の有無を第三者に頼ることによって、2‐3章の「口封じ」による殺人の模倣ができます。

 

しかし、これはあくまで模倣です。ダンガンロンパの模倣をしたがっているのは首謀者のみなので、首謀者はモノクマやチームダンガンロンパを無視してこの模倣を実行したと思われます。

 

実際にその偶然を起こさせるために、首謀者はかごのこを行える場所と火がある場所を一致させ、3階にあるものだけで密室トリックを作成できるようにしました。(才囚学園の設計は基本的にチームダンガンロンパが行っていますが、首謀者である白銀もそれに多少の口出しが出来たと考察しています)そして、実際にその偶然は起きたのです。そして、かごのこを行うチャンスを得た真宮寺はかごのこを行い、2人目の犠牲者を出しました。

 

しかし、アンジーと茶柱の死は、夢野を大きく成長させすぎてしまいました。もしかごのこのみ行っていたならば、口寄せはV3と同じように茶柱が行っていたでしょう。本来の犠牲者は茶柱のみだったのです。もしアンジーが生き残っていたら夢野はずっとアンジーに依存したまま成長しなかったでしょう。

 

また、4章の予測も困難にしています。もしアンジーが生き残っていたら、入間は生徒会で場をかき回したアンジーを狙っていたでしょう。しかしアンジーは死に、入間は王馬を狙いました。このことによって、4章の事件へ王馬が介入するチャンスを与えて首謀者の座を乗っ取られ、5章終了までほぼ予測することを許されなかったのです。

 

 

・4章

4章についての事前予測は、もはや「入間が死ぬ」という事だけでした。アンジーが死に、入間が標的を王馬にしてしまったからです。アンジーが死んだことにより、入間が狙うであろう人物はもう王馬しかいません。当然首謀者は、植え付けた設定上、彼がただで死ぬ人間ではないと考えます。

 

そこで、「王馬がカードキーを奪い取って1人で外の世界の真実を見る」という偶然に期待し、彼を先に絶望させておこうとしました。絶望させる=行動不能にするという事です。そもそも、あのカードキーは誰か1人にだけ先に外の世界の真実を見せておくためのものだったと考えられます。あのタイミングで全員に外の世界の真実を見せるメリットが無いからです。

 

また、これには模倣犯としての欲も含まれていました。「トリックスター枠の人間に、先に真実(嘘だったけど)の一部を伝える」という事は、2‐4章に対応しています。つむぎちゃんはスーダンが好きだったのかな?

 

しかし、王馬は外の世界の真実を首謀者の嘘だと考え、自らの推理を展開させました。その推理はカメラには映らないものなので、首謀者は真実に絶望しなかった事は把握できますが、王馬がそこから推理し、しかもそれが大体当たっていることは知る由もありません。よって、ここからは首謀者の予測は通用しなくなり、本編のような王馬の独壇場となってしまいます。

 

王馬が推理した事は、「外の世界は滅びてなんかいない。必ずこのコロシアイは誰かに見せている」という事です。この予測外の推理は、王馬を「超高校級の総統」という、首謀者目線で物事を考えられる才能にしてしまった首謀者の失敗とも言えます。

 

ここから彼は、コロシアイに勝利する条件を「視聴者が運営側に愛想をつかす」、つまり「運営側の不祥事を作る」もしくは「コロシアイが起こらない状況を作る」ことであるとします。ここについては5章で詳述します。

 

そのため、入間が自分を狙っていると知ったら、勝利条件である「コロシアイが起こらない状況を作る」を達成するための計画を実行するチャンスだと思います。それが「首謀者の座を乗っ取る」という事だったのです。

 

元々、彼の勝利条件の中に「コロシアイが起こらない状況を作る」は1章のタイムリミット前からありました。「このせかいはおうまこきちのもの」がかなり前からあったのもそのためです。彼の中では、「コロシアイが起こらない状況を作る」=「自分が首謀者を騙る」だったのです。

 

首謀者が自分の予測を確定させたのは、王馬がモノクマと交渉した時です。もっとも、このタイミングで予測を確定させるのは遅すぎるので、首謀者はほぼ何もすることができません。しかも、首謀者の予測は「入間が返り討ちにされる」ことと「王馬は自ら手を下さない」ということだけでした。

 

その時点での入間・王馬以外の生き残りの中で、王馬に唆されて人を殺す人物が思い浮かばなかったからと言えるでしょう。唯一騙されそうなゴン太も、V3では意識にも何らかの障害が出たからという理由(本当かどうかは分からない)で入間を殺したので、首謀者はそこまで予測できません。意識に障害が出て人を殺すのなら、変な話誰でもクロになる可能性があったからです。

 

首謀者の願望とすれば、ゴン太がクロになって欲しかったでしょう。実際ゴン太が死ぬ理由として、首謀者は「王馬に騙されること」を設定していました。もしその設定が4章(筋肉枠)というタイミングで発揮されるなら、これ以上に良い事は無いでしょう。

 

そして、実際にゴン太が入間を殺したわけですが、裁判の主導権はゴン太にはありません。プログラム世界での記憶を無くしているからです。もっとも、記憶があったとしても王馬に「余計な事は喋るな」と言われていたでしょうが…。

 

首謀者は、ここでもっと早く違和感に気づくべきでした。今回の学級裁判は、王馬がヘイトを集め、最原と百田を切り離すためのものになっていたのです。王馬は、この二つの目的をすべてこの学級裁判で達成しています。

 

一見最原・百田・王馬が順番に主導権を握っているように見えますが、実際は王馬は最原に主導権を握らせようとしています。つまり、実質的な主導権はすべて王馬が握っていたのです。このタイミングで気づけなかったので、のちのちの対策が雑なものになってしまい、なにより王馬は「首謀者を騙る」という目的を達成してしまいました。

 

 

・5章

5章においては、もし最原がいなかったらここでダンガンロンパは終わっていたでしょう。この章に限っては、モノクマと首謀者は「真実を知らない」という意味では対等の立場にあります。

 

「王馬が絶望の残党である」という思い出しライトを使うまで、主導権はすべて王馬が握っています。百田がモノクマと戦おうといったタイミングで適切にエレクトハンマーを渡し、自然にモノクマと戦うことを避けさせたのは、彼なりの優しさと言えます。戦っても無駄だという事を、王馬は視聴者の存在から推理しています。

 

そして、皆に外の世界の真実を見せます。外の世界の真実が使われるのはここで3回目ですが、やっと全員に明かされます。ここで王馬は、自分の推理を元に真実を明かし、自分が首謀者だと言います。首謀者は、やっと王馬に外の世界の真実を見せた事を後悔したことでしょう。

 

何より、王馬の推理が的を得ていたということに驚いたはずです。元々この真実(嘘ですけど)は、おそらく1‐6章のように学級裁判中に明かされるものの予定でした。自分が皆を絶望させるための材料を、彼に使われてしまったのです。しかも、この時点でもまだ首謀者は王馬が視聴者の存在に勘づいていることに気づいていません。

 

王馬がコロシアイに飽きたと言い、こう着状態になってしまったV3。このままでは、ダンガンロンパは終わりかねません。首謀者に残された最後の手段は、皆に希望を与える思い出しライトを作る事でした。王馬と百田という嘘のエキスパートがいない今、その最終兵器を使うことが許されたのです。

 

そしてその思い出しライトを使った最原たちは、首謀者の予測通り王馬に立ち向かうことを決意します。思い出しライトと王馬の話にはいくつか矛盾がありますが、「嘘つき」である王馬小吉の話と(現時点で)自分の記憶を呼び起こすものである思い出しライトのどちらを彼らが信じるかなどは、言うまでもありません。

 

首謀者が希望を与えるなんて、ダンガンロンパではあるまじき行為です。しかし、この思い出しライトによって、やっとコロシアイのこう着状態を打ち破ることができます。実際、春川は思い出しライトを使ったその日の夜に王馬を殺しに行きます。首謀者は、なるべく単純なトリック・理由で王馬が殺される事を望んでいました。その目的にあたって、春川はうってつけの人物だったと言えます。

 

ですが、百田が王馬を庇ったことにより、春川の計画は失敗し、解毒薬も王馬に奪われてしまいました。しかし王馬にとっては、この一連の流れを春川、そして首謀者に見せることが重要だったのです。王馬は、春川が格納庫に来た時点で、元々の「コロシアイが起こらない状況を作る」計画から「運営側の不祥事を作る」ための計画に切り替えました。

 

元々王馬は、もしコロシアイが起こらない状況になった時、首謀者が何もしないわけがないと考えていました。そして、もし自分を殺そうとする者が現れたときのために、自分をシロ、百田をクロとした殺人計画を立てていました。この計画を実行できるのは、嘘のエキスパートである王馬と百田しかいなかったのです。

 

そして、計画を実行しました。解毒薬を飲むフリをして春川を、エレクトボムを使ったことにより首謀者を、死体をプレスしたことにより最原たちを欺きました。この事件の解決は、超高校級の探偵である最原にしかできないようになっていました。クロもシロも分からない首謀者とモノクマは、そんな彼に5章の結末を委ねるしかなかったのです。

 

そのため、もし最原が春川を犯人としていたら、モノクマは春川をおしおきしていたこたでしょう。そもそも、結果的な死因がプレスか毒か分からないため、この議論は突き進めていくと誰が犯人か分からなくなってしまいます。もともと病気で死ぬ予定だった百田をクロとしたのは、首謀者にとっては良い「落としどころ」でした。

 

しかし、首謀者が安堵するもつかの間、今度はキーボのアンテナが折れてしまいます。これにより、V3における「最後に生存者を絶望させる材料」として、この世界がフィクションであるという事を使わざるを得なくなりました。詳しくはこちらをご覧ください。

 

bunbunv3.hatenablog.com

 

6章

キーボが学園を壊している間、首謀者は必死で裁判の展開を考えていました。キーボによって全ての部屋に入れるようになったので、自分が首謀者だと暴かれるきっかけは、1章事件の真犯人であるということに決定していたからです。裁判が開かれることはほぼ明確でした。

 

また、5章で浴びせた思い出しライトにより、この世界がフィクションかもしれないと思わせる材料もありました。あとは、首謀者である自分の口から真実か嘘か分からないような真実を言い、キーボ(視聴者)以外の全員を絶望させるだけです。

 

首謀者の予測では、キーボが希望を持つきっかけをつくり、そこでさらに成長した最原が改めて希望を持って絶望である自分を論破してくれることになっていました。もしそうなっておしおきを受けることになったとしたら、首謀者は満面の笑みでおしおきを受けていたでしょう。ダンガンロンパが続く事が確定したのですから。

 

なので、6章は最原が「僕は希望を否定する」と言い始めるまでは、首謀者の直前の予測通り進んでいきました。最原が希望を否定してしまったおかげで、最終的にはダンガンロンパは終わりを迎えてしまいます。

 

最原が希望を否定した原因として、最原の初期設定を弱くしすぎたことが挙げられます。初期設定が弱いということは、それだけ成長する機会が多いということです。正攻法で首謀者に挑んだ赤松や天海、嘘を使って首謀者を騙そうとした百田や王馬の失敗から成長した最原は、ダンガンロンパにおける「別解」を見つけました。

 

その別解こそが、希望でも絶望でもない終わりだったのです。最原は、赤松や天海のように首謀者を相手にせず、百田や王馬のように嘘で丸め込むでもなく、真実で世界と戦いました。ダンガンロンパを終わらせるには、視聴者が納得する形(真実)で議論を展開させる必要があったのです。

 

首謀者を相手にしたらV3は終わりますが、ダンガンロンパは終わりません。また、「例えフィクションだったとしても、この胸の痛みは本物だ」という真実で視聴者を説得させないと、第三者である視聴者を納得させることはできません。

 

模倣犯である首謀者にとって、ダンガンロンパが終わることはチームダンガンロンパとしても、白銀つむぎとしても最悪の結末でした。そしてダンガンロンパは、「視聴者が愛想をつかす」ことによって終焉を迎えます。その愛想をつかした理由は、王馬が考えていた運営側の不祥事や、コロシアイの起きない状況でもありませんでした。

 

・首謀者と黒幕の失敗

今更ですが、ここで言う「首謀者」とは白銀を、「黒幕」とはチームダンガンロンパを指しています。首謀者の失敗は主に実行犯として、黒幕の失敗は主にコロシアイ会場のセッティングなどの事前準備についてです。今回はおおまかに、首謀者の失敗と黒幕の失敗で一番大きいものを1つずつ挙げます。

 

首謀者の失敗:模倣犯としての欲を出しすぎた

正直、これが実行犯が失敗した八割の理由といってもいいでしょう。アンジーが死んで4章の予測が困難になったのも、王馬に首謀者を騙らせる隙を作ったのも、要所要所でダンガンロンパの模倣を狙ったからです。

 

「アンジーと真宮寺が遭遇する」という偶然を起こしてしまったせいで、アンジーが死ぬ→入間がターゲットを王馬にする→王馬が4章事件に関わる→入間とゴン太を使ってヘイトを集められる→首謀者を騙られる→最原がこの世界の真実や「別解」に気づくという負のスパイラルが起こってしまいました。

 

江ノ島以外の人物がコロシアイを運営するとき、「事前の予測通りにコロシアイを運営する」ということはとても重要です。「超高校級の分析力」のなかった首謀者は、自分の予測を崩すことによって、自分の首を絞めていたのです。

 

黒幕の失敗:行動理念の予測が難しい「トリックスター枠」の投入

トリックスター枠は公式用語ではありませんが、ここでは1の十神、2の狛枝、V3の王馬のことを指します。

 

今までのトリックスター枠は、例えば狛枝なら「希望」を行動理念とし、また十神は「コロシアイに勝つ」ことでしたが、最終的には苗木と共に正攻法でコロシアイを終わらせるために行動しました。この2人に関しては行動理念が単純かつわかりやすいので、何をするか簡単に予測できます。

 

しかし王馬の場合、行動理念は「コロシアイに勝つ」ことですが、彼は「嘘つき」という設定があるうえ、誰よりも早くV3世界について考えられる機会が与えられます。十神は嘘つきではありませんでしたし、トリックスターとしての役目も他二人に比べれば薄めでした。この差が、彼の行動を読めないものとしていたのです。

 

まず、嘘つきという設定によって、「コロシアイに勝つ」というのがどういう意味で勝つことなのか分からなくなります。そもそも、もし彼の言う「コロシアイに勝つ」の意味が分かっていたのなら、首謀者は王馬が行動し始めた時点(4章)でそれを全力で止めているはずです。彼がもしコロシアイに勝つ、つまりコロシアイを終わらせてしまったら、V3は盛り上がらなくなってしまうからです。

 

今までのトリックスター枠に対して、黒幕は特に何もしていませんでした(強いていえば2‐4章)。今回も今までと同じように、特に対策を行っていなかったのでしょう。才能や性質だけ見れば今までより強い警戒が必要なのに首謀者がそれをしなかったのは、彼に「臆病者」などの設定をしていたせいだからとも考えられます。

 

本来トリックスター枠は、コロシアイを盛り上げるために投入されるものです。実際、1の十神や2の狛枝の存在は黒幕にとってはコロシアイはを彩った存在でしょう。しかし彼らは、自分の理念にそぐわないものを徹底的に排除しようとします(2‐4章以降の日向に対する狛枝など)。王馬の元の性質は「エンターテイナー」です。彼にとってこのコロシアイがツマラナイものだったら、それは排除の対象だったと言えるでしょう。

 

 

今回はV3全体のまとめ、というよりは黒幕や首謀者よりの考察になりました。かなり他の人の影響を受けていると思うので今(もしかして:〇〇さん)と思っている方もいると思います。すみません。ぜひその方の考察も読み直してみてください。

【考察】もし首謀者=赤松楓の○○だったらなって話

ニューダンガンロンパV3のネタバレを含んでおります

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1.もし白銀=赤松妹のコスプレ、もしくは本人だったらという前提

 

今回V3を考察するにあたって、「赤松さんに妹がいる」という真実を有効活用しなかった首謀者に少し違和感を感じました。しかし、それにはれっきとした理由があると考えられます。キーボのアンテナが折れたことです。

彼のアンテナが折れたことでアンテナ=受信用=視聴者の存在を暴かれる可能性が出てしまいました。なので首謀者は、最後の学級裁判で皆を絶望させる材料として「この世界がフィクションであること」を使うように変更し、その時使う予定だったある材料を使わないようにしました。

その「ある材料」が、「自分は赤松楓の妹である」という事だったのです。ここてまは便宜上「この世界がフィクションであることを利用して最原たちを絶望させようとしたルート」を「フィクションルート」、「自分は赤松楓の妹であるという事を利用して最原たちを絶望させようとしたルート」を「赤松妹ルート」と呼びます。

 

ここでいくつか出てくるであろう疑問点を整理していきます

 

・なぜアンテナが折れた時点で変更?

→少しでもフィクションであると暴かれる可能性がでたから。仮にフィクションであることが判明せずにエピローグを迎えたら、「なぜキーボは暴走したのか?」という疑問が最原たちにも視聴者にも残る。

 

・3次元のコスプレはできないのでは?

→「V3の世界」には判明している限りではコロシアイ参加者の16人しかいない。そこに6階にあった書面上で「赤松楓の妹」という(V3世界における)フィクションの存在を作れば可能だと思われる。また、首謀者が赤松妹本人ならこの問題は解決する。

 

・首謀者=赤松妹なんて都合のいい事あるの?

→思い出しライトがあったり、赤松さんが死んでいたり、嘘のエキスパートである王馬や百田がいないので、仮に嘘をついたとしても嘘だと思われる確率は低い。また、嘘だと証明出来る術が無い。

 

・絶望させる材料を両方使っても別にいいのでは?

→上記のように、赤松妹を書面上の存在にしてしまえばコスプレが可能になるが、もしV3世界をフィクションとすれば、赤松妹は現実世界にいる(であろう)存在になってしまう。そうしてしまったら首謀者がコスプレできるかどうかが曖昧。

また、そもそも首謀者がコスプレできる定義は、周りの事や真実に関係なく、「自分がフィクションだと思うか」に関係していると考察している。そういう面では自分の主観を記憶からコントロールできる便利な道具がV3にはある。

 

・両方判明する可能性があったのでは?

→フィクションであるという事については、江ノ島(白銀)が4章王馬のように一方的にまくしたてた結果判明した真実。記憶と資料集の相違に気づいた最原くんがきっかけでもあるが、そこに「首謀者は赤松楓の妹である」とぶつければ、彼を封じる事は簡単だったと思われる。

 

・そんな急に予定変更出来るわけない

→確かに首謀者がアドリブにめっぽう弱いのは考察しててすごく感じる。だから、首謀者は最後に大コケしないように、結末をいくつか用意していたと考えられる。

 

 

2.「赤松妹ルート」の利点

まず、このルートの流れを説明します。

赤松さんが冤罪であった事までは同じ流れです。白銀つむぎが「赤松さんの妹だよ!!」というところも。しかしそこで、彼女は「江ノ島盾子だよ!!」とは言いません。ここが結末を変える大きな分岐点となっています。

ここで、首謀者は問いかけます。「赤松さんの妹って、誰だと思う?」それこそ2‐5章の七海みたいに。

さすがに最原くんも、首謀者は赤松楓の妹であると気づくでしょう。「私だよ♡」ってことです。

そこからはキーボ以外皆絶望し、キーボが「超高校級の希望ロボット」として他の参加者に希望を伝染。最終的に最原くんが裁判を終わらせる…という、いわゆる「今までのダンガンロンパ」と同じような流れでしょう。

 

 

メリット①「成長物語」の完成

「赤松妹ルート」を正規ルートだと仮定すれば、5章までは正規ルートで進み、赤松・王馬・百田が死に、成長した最原が生き残って主人公のような立場になることは確定していたと考えられます。

そんな最原くんに首謀者=赤松妹だとぶつけて絶望させ、(視聴者によって)希望を持ったキーボに裁判を引っ張ってもらい、そこでまた最原くんを成長させ、最終的には彼に論破してもらう。これこそ、首謀者が望んだ「弱い探偵の成長」が描けていると考えられないでしょうか。また、5章で百田と対立した後に赤松(の妹)と対立するということは段階的、つまり正規的な成長と言えます。

赤松、百田、キーボによって成長させられた弱い探偵は、満を持して外の世界に旅立つでしょう。そこに追加してキーボがおしおきを受けるなんて言い出したら尚更です。

 

メリット②過去作の模倣

首謀者にとっては、むしろこっちがメインと言っても過言ではありません。過去作のような真実を暴露し、今までのダンガンロンパとほぼ同じような結末を迎えられます。「予定調和」の希望と絶望を、視聴者に届けることができます。

何よりも、これからもダンガンロンパを続けられるという可能性が1番高いでしょう。逆に言えば、フィクションであることを暴露するという事は、諸刃の剣だったという事です。

 

メリット③とにかく手っ取り早い

暴露するしないに関わらず、ニューダンガンロンパV3はフィクション世界の話です。思い出しライトなんていう便利な道具もあります。自分が赤松妹ではなかったとしても、また赤松妹なんて存在していなかったとしても、名乗ってしまえば嘘か本当か証明する術がありません。6階の書面に「赤松楓には妹がいる」とだけ書いておけば、この結末は完成します。

また、もし百田が生き残っていて、本当は首謀者は赤松妹ではなかったのなら、この嘘は簡単に暴かれてしまうでしょう。その「万が一」を防ぐために、百田にウイルスを打ち込んでいたという考察も可能です。

 

メリットだらけで安定したダンガンロンパを演出できるこの結末を迎えることができなかったのは、首謀者の考えたシナリオからV3がだんだんずれていき、制御できないものとなってしまったからです。ここらへんもまた書けたらいいなと思っています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。