5000字ちょいのツイート

解釈とたまに考察と感想

【SS】ふたつの炎【苗木誠生誕祭2019】

⚠こちらの文章は普段と違ってSS形式となっております⚠

ダンガンロンパシリーズの重大なネタバレを含んでおります。




















ボク達がいる世界が、いつだって希望に満ちた世界だとは限らない。
大袈裟な話ではあると思うけど、これを経験している人間としては否定できない。気づいたらそこは教室かもしれないし、あるいは南の島かもしれない。事実として、今がそうだ。どういう訳か、今ボクは机に突っ伏して寝ている。手足が縛られているというわけでもなければ、誰かに監視されているような雰囲気も無い。はっきり言って、不可解な状況だった。…もし万が一、これが残党の仕業だと言うのなら、それにも納得はできるんだけど。そして、残党は模倣犯とも言える。机で寝ているというこの状況に、一瞬だけ悪い予感が脳を掠めた。これ以上、ここに留まるのは良くない。そう本能で感じ取った。ボクは周囲を確認すべく、ゆっくりと顔を上げた。

…………………………教室だ。
独特の壁の色、窓に打ち付けられた鉄板、そして監視カメラ。そこは幾人もの青春を踏みにじってぶち壊した紛れもないあの教室、おそらくはあの学園だった。忌々しい、思い出したくもない、忘れてはならない惨状がいくつも生み出されてきた、希望を育てる絶望の檻。ボクを超高校級の希望にしてしまった、全ての始まり。人によっては全ての終わりとも言えるだろう。これは夢だ。とても悪い夢だ。そう確信すると共に、脳を掠めていた一抹の不安が再び呼び起こされる。まさかそんな事がと思いたいが、事実として、平和になった世界からも絶望は消えていない。消すことなどできないものだと、なんとなく悟っていた。ボク達の住んでいる世界は、あくまで「象徴の無い世界」であって、決して絶望の無い世界なんかではないのだ。夢であろうと現であろうと、とにかくここに長くはいたくない。早くこの部屋から、いやこの学園から出なくては。生存本能から、ボクは部屋を飛び出そうとする。事が起きたのはその時だった。

「お久しぶりです、苗木くん」

声が、聞こえた。
あまりに突然の事で、ボクは思わずゆっくりと振り向く。…そこには、声の主だとはっきり言いきれるその人がいた。ここでやっと、これは悪い夢なんだと絶対的に確信する。それと同時に、この教室にしばらくここに留まらなければいけない、いや留まるべきなんだと強く実感した。
「…私の事、覚えていますよね?苗木くんがここに来るまで、ずっと待っていました。苗木くんとおしゃべりするために。きっと、私の事、理解していないでしょうから」
もちろん、彼女も忘れてはいけない存在のうちの1人だ。確信的に、けれども確かめるように言葉をかける。
「…なんで分かったの?」
エスパーですから」
人によっては、彼女の事を全ての始まり、口火を切った張本人とも言うだろう。もちろんボクはそう思っていない。だからこそ、彼女は理解していないと言えるんだろう。
「何が理解出来てないかって、もう分かっていますよね、きっと。確かに私は、殺された側の人間です。…人殺しを企てて、あなたに罪を被せようとして、返り討ちにされた、『被害者』です」
おまえの考えている事は分かっている、とでも言いたげな口調でそう静かにまくし立てられる。感情的なはずなのに、その笑顔の仮面が剥がれることは無かった。それに、質問に対するボクの返事もきっと分かっているだろう。…はっきり言って、自分のしている事が「正しい」事なのかどうか、今となっては分かっていない。もはや、これボクのエゴなのではないかとまで思っている。
「…もしそうだったとしても、舞園さんは悪くない。悪いのは全部黒幕なんだ、黒幕のせいなんだ…!」
絞り出すように、エゴを吐き出した。この言葉は、キミや他の人達にとってはもはや呪いの言葉なのかもしれない。今までに、何度この言葉を吐いてきたことだろうか。けどボクは、この言葉こそが後々にキミ達を救うと信じている。事実、何度悔いても、夢の中の彼女にかける言葉はいつだってそれだった。
「そもそも、口火を切ったのは紛れもない私なんです。あの時、私が外に出たいだなんて思わなかったらピタゴラ装置は作動しなかったんです。そのせいで何人の犠牲が出たのか覚えていないんですか?」
ああ、もちろん覚えている。とても鮮明に。たとえそうだとしても、キミは何も悪くないんだ。そのピタゴラ装置を作ったのも、君にボールを握らせたのも、転がさせたのも、ぜんぶ黒幕がやったことだ。
「だから苗木くんはずっと私達を救えないんです。明確な殺意を持った私達を。お願いだから認めさせてください!それを背負って償うことこそが、私たちの救いなんです!救われていないからこそ、私はこの学園に囚われたままなんです!」

お願いだから、ここから出してよ!

それは違う。…キミが背負う必要のある罪なんて、どこにもないんだよ。そもそもあの時にボクが気づくべきだったんだ。キミを救えるのは今なんかじゃない。まさに、ボクが初めにそれを聞いたその時だったんだ。何十年も引きずってきた後悔が、今になって再び痛みを帯びる。今は一旦忘れよう。後悔すべきなのはボクだ。決して彼女ではない。その後悔ならいつだって、嫌でもできる。彼女が言う「救い」は、どう考えたって自己犠牲だ。キミは何回自分を犠牲にするんだと、喉から吐き出しそうになる。けど殺意を認める事がキミを救うことになるのなら、ボクは決してキミの言う「救い」をしない。
「救っても、キミは絶対に幸せになれない。罪を償うべきは君じゃなくて黒幕だ。ボクはそう確信しているんだよ!」
まず、こうして強い言葉を押し付ける事でものを論ずることができないボクを、許して欲しい。そしてキミは知らないだろう、『超高校級の希望』の名にかけて誓おう。
「ボクがどう思うかで、キミが悪いかどうかなんて決まらないよ。…それに、もしボクはキミが罪を認めたとしても、絶対にキミに罪は無いって言い続けるし、黒幕を許さない」
ここまでは、他人が聞けば完璧な綺麗事だろう。そしてここからは、1人の人間としての誓いだ。
「それとさ、舞園さん。…もしキミのせいだとみんなが、いや世界中が言ったとしても、ボクはあの事件を、キミのせいになんか出来ないんだよ」
そもそも、少し人より前向きなことだけが取り柄のボクに、綺麗事だけを吐き続けることなんて出来なかった。どうしても、彼女にだけはその心情を伝えてしまうのだ。
「…そう、ですか」
キミは、何も言うことが出来ずに目を伏せる。いつもならここで終わってしまう夢は、決して途切れなかった。
「さ、早くここから出ようよ。舞園さんも、あまりここに長くはいたくないでしょ?」
これがよほど悲観的な夢ではない限り、ボクは彼女と一緒にこの部屋を出ることが出来るだろう。これは経験則でもなんでもなく、ただの願いだった。
「どうして、そう簡単に外に出られるって信じられるんですか…?」
「…ただの勘だよ。きっと鍵も開いているだろうから、行こう」
まあそう思うのも無理は無い。ここから出られないと思うのは、生き急いでしまった彼女の防衛本能に近いだろう。付いてくるかどうかは、彼女がボクの事をどう思っているか次第だ。ボクには、今はどうすることもできない。
「……苗木くんなら、ここから出してくれるって信じていましたよ」
少しの間を置いた後、手に温もりを感じた。…何十年越しの誓いを、やっと果たす時が来たのだ。
「…ありがとう」
「こっちのセリフですよ、苗木くん」
あの時、もっとボクがキミを、キミがボクを、信頼できていたら。この後悔は未だにボクの心に空いた穴であり、混沌への怒りの炎の火種になっている。信頼は絆だ。そして、その絆はいつしか希望となる。
「…約束、ずっと守れなくてごめん。ここから出すって言ってたのにさ」
夢の中も含めて彼女への誓いを果たしたのは、これが初めてだ。人間としてはかなり成長したと思うが、一人の男としてはまだまだ青二才だと感じる。
「いいえ、苗木くんは悪くありませんよ」
キミはボクがさっき言ったように、笑顔でそう返す。その笑顔は、アイドルとしてではないものなんだと感じ取った。
「苗木くんはすごく頑張ったんですから。もっと自分を認めてあげてくださいよ」
「…えっ?」
今度は私が励ます番、とキミは笑顔でこちらを見る。正直、かなり驚いた。
「…苗木くんは、自分が思っている以上にみんなの助けになっているんですよ?きっと死んでしまったみんなも、そう思っています」
少しの間を置いて、舞園さんの手がボクの頬に伸びる。…恥ずかしい事に、無意識のうちにボクは涙を流していたらしい。コロシアイ生活中も、もちろんその後だって、泣いたことなんて1度もなかったのに。少しだけ、ここから出たくないと思っている自分を感じてしまう。ここから出たら、きっともう二度とキミには会えないだろうから。
それでも、ここから進むのも止まるのも「運命」ってやつだ。ボクは皆と、皆を背負って前へと進もう。明るい決意をこめて、ボクはカチャリと鍵の開いている扉に手をかけた。
「…苗木くん、ありがとうございました」
きっとその時、キミは微笑んでいたのだろう。そう信じたい。扉を開けて、ボクは彼女と外へと出た。手に感じていた温もりが消えていくのを痛感する。それから僕は、二度と彼女の姿を見ることは無かった。


扉を開けた先には、あの時のように古風なエレベーターが1つあった。ただ一つ違うのは、赤い扉が無いことと、そこまでの廊下な存在しないこと。けど何が起こるかも誰がいるかも何となく予感しているし、それは全て悪いものだった。…それでも、とボクは1歩先へ進んだ。ここまで来たら、もう行くしかない。
エレベーターに乗って、ボクはふと後ろを振り向いた。…葉隠クン、腐川さん、朝比奈さん、十神クン、そして霧切さん。置いてきてしまったみんなは、まだ元気だろうか。そういえば、みんなにはしばらく会っていなかったな、と今更気づく。こんなことになるんだったら、会っておけばよかった。ボクは大丈夫、後は頼んだよ、と。
今更別れの実感が湧いて、エレベーターに乗ったことを少しだけ後悔する。もう後戻りは出来なかった。これからは、ひとりで。ここからは、未来機関のみんなも、死んだ仲間たちも、誰もいない。言いたいことは山ほどあったけど、彼らにそれは必要ないだろう。そう自分に言い聞かせて、下を向いていた頭を前に起こした。
エレベーターを降りると、そこには長い長い廊下があった。長すぎてもはや先が見えない。その道を、ボクは懸命に歩いた。78期のみんなや未来機関の面々、残党達はもちろん、舞園さん、霧切さん、そして…。不思議な事に、1歩1歩踏み出すごとに、走馬灯のように希望と絶望の戦いが思い起こされる。わずかな光を頼りに、再び廊下を進んだ更にその先に、あの赤い扉があった。きっと、この先に。あの時と同じような決意と闘志に、ボクは再び火をつける。不思議と、自分は決して1人ではないのだという気がした。ボクの背中には、今間違いなくたくさんの仲間達がいる。彼らと、最初の1歩を踏み出す。…大きく深呼吸をして、ボクは扉を勢いよく開けた。


それが思っていたものかといえば、はっきり言って違った。おそらく、映画館だ。そしてボクが映画館に居るということは『そういうこと』なんだろうと本能的に感じ取った。…世界に平穏が訪れたあの日に、ボクは緩やかにに死んでいったという事。それはあまりにも突然の事だったこと。きっと心不全不整脈か何かだろう。故意か偶然かはたまた運命か、今となってはよく分からないという事。とにかく、ボクが映画館に居るということには変わりはない。そしてそこには、予感していた通りと言って良いだろう、先客がいた。彼女は座席が並んでいるそのど真ん中にどっかりと座っていた。
「…よく来たわね、人間」
「……………」
「それにしても呆気ない死に方だったなぁ!!!苗木ィ!!!!」
こちらも振り向かずに、一言二言交わした。相も変わらず、しおらしいように見えたらすぐにこうだ。…江ノ島盾子。ボクがこの身をもって、一生を賭けて戦ったモノの“象徴”。
「…お前と比べたら、呆気ない死に方だっただろうよ」
「ま、あそこまで絶望的な死に方ができるのは世界一絶望的な私様だけですけどね」
そう言って彼女はけらけらと笑う。ボクは何も言わなかった。今更、彼女に言いたいことなんて無い。
「…そんなどうでもいい事よりもさ、これ」
キャラを変えるキャラ設定にももう飽きてしまったのだろうか、真顔で指差した先には巨大なスクリーンがあった。まあスクリーンがある事自体は映画館を模したこの空間では当たり前のことなのだけど、問題はその内容だ。そのスクリーンには、人型のロボットのようなものが映っていた。それだけじゃない。仁王立ちする少女に、何も出来ずにただただ立ち尽くす少年少女達。しかも、それこそボク達が戦ったあの円形の裁判所のような背景がそこにはあった。…まさしく、高校生の時のボクらそのものだ。
「なぁ?絶望的にシュミ悪いだろ?」
「…お前のやってた事じゃないか」
「まあ、私様のファンがこれやってるんなら文句無しなんですけどね」
ファン、というか残党以外に誰がこんな事をやるんだよ、と心の中で呟く。正直、信じられないというのが率直な感想だった。あの日、確かに平穏は訪れたはずなのに。
「これ、絶望的に退屈なのっ。この絶望的にキュートなアタシが作ったもののはずなのに。ま、苗木に言っても分かんないか」
可愛こぶるような素振りを見せながら、やっとこちらを向いて話し出す。どうやら、この映像に本気で飽きてきたらしい。それはボクも同じで、今頃になってやっと彼女と少し離れた座席に座った。
「…『ちゃんと』人が死んでて『ちゃんと』絶望的な展開なんですけどね。なんでこんなにツマラナイんだと思いますか?」
…そんなこと、キミが一番分かっているくせに。やっぱり、ボクは彼女と分かり合える気がしないと改めて感じる。江ノ島盾子を理解するという事は即ち、超高校級の絶望を理解するということなんだろう。そしてそれは、根本的に思考回路が違う種、例えば異星人を理解するようなものだ。あくまでボクにとっては。
「…ツマラナイついでにさ、遊ぼうぜ。コレ使ってさ」
終始無言を貫くボクに差し出されたのは、見慣れてしまった黒い鉄の塊。そして、彼女も全く同じようなものを持っていることに今更気づく。
「…死んでからは、コレを使うことでしか絶望を感じなくなったんです。…でも、コレが超超超超超超超超超超超超、絶望的なんですよ」
よく見たら、確かに前の方の座席には彼女だった肉塊が並べられていた。死んだ世界でまた死ぬという概念に吐き気がする。…こうなってしまっては、もう何を言っても無駄だと悟った。
「じゃ、ルールを説明するよ〜?アタシが苗木に、苗木がアタシにコレを向けて、引金を引くだけ!簡単でしょっ?」
「そんなの、両方死ぬんじゃ
「何言ってんだよ苗木ィ!!そんなつまんねぇルールなわけ無ぇよな??」
「そちら、確認して頂ければ分かるのですが、弾は2発しか入っておりません。つまりは3分の1の確率で死ぬ、と」
「それで先に死んだ方が負け、です……」
一方的に追い詰めるようにルールをまくし立てられる。いつもそうだ。自らを死の危機に晒すのも、絶望という名の快楽に弱いというだけの話だった。
「何度も言うけど、ボクは別にお前を殺したいわけじゃないんだ。世界から絶望が無くなればそれでいいんだよ!なんでお前と殺しあわなきゃいけないんだ!」
「今更何言ってんの?アンタとアタシが殺し合うのは運命。水と油が永遠に反発し続けるようなもんよ」
「だからといって、他にもやり方が…」
「やり方も何も無いわよ。まだ分かんないの?まさか、アタシを絶望じゃ無くそうとしているつもり?」
「それにね、光が強ければ影も濃くなるでしょ?ねぇ、苗木くん、アタシが何言ってるか分かる?」
…はっきり言って、分かりたくなんてなかった。霧切さん達と1度はそう結論づけたものの、それは模索中の答えだったからだ。絶対に、ボクの中には模範解答が存在する。
「…その通り。あなたは私、私はあなたなのです。お気づきでしょう?あなたが世界に希望を広げると共に、絶望もまた広がっていくのが。皮肉ですね。絶望的ですね」
「なぁ、分かってんだろ?オレら絶望を消すためにするべき事をよぉ!!」
紙一重で、光と影で、相反する概念。ボクが背負っていたものは、そんなものだった。考えれば考えるほど、「その」結論にしか行き着かない。そして、それは目の前にいる彼女も同じなんだろう。今ここで、本気で、自分の命を賭けてまでも、消しにかかっている。
「で?やるのか?やらないのか?人間」
「…やらないって言ったら、どうするんだよ」
「その時は、私があなたを殺すだけとなります。非常にツマラナイですね。絶望も広がりっぱなしですし」
「…ここでは、人は羽虫と同じくらい死にますからね…たまには、苗木くんに…超高校級の希望に、殺されたいんです」
「…分かったよ」
ちょうど、あの時…江ノ島盾子が自らを死に追いやった時によく似ていると思う。誰も彼女を止めることは出来なかった。暴走族のプライドを、ギャンブラーの夢を、格闘家の覚悟を、誰も止めることが出来なかったように。
「ではでは早速…って、アンタ銃の使い方なんて分かるの?」
「分かってるから」
「…そっか!じゃ、行っくよ〜〜?」
嬉々としながら、江ノ島盾子はリボルバーを回す。「あの目」だ。あの目をしながら、ボクに銃口を向けた。
「撃たねえなんてチンケな真似すんじゃねえぞ?」
もちろん、ボクも覚悟を決めた。きっと、高校生の時のボクならこの弾丸を放たずに、彼女に殺されていただろう。けど今は違う。悲しい事に、ボクはこんな状況には慣れてしまっていた。そして、いくらボクが「お人好し」だったとしても、彼女は殺さなくてはいけないのだ。そういう結末にしないと、絶望が広がり続けるから。震える手に、そっと鉄の塊を握る。
「…そんなに震えなくても構いませんよ。きっと、これは永遠に繰り返されるので」
「…どういう事だよ」
「前に並んでた死体、見ていないんですか?ここは、何回死んでも生き返る、正に絶望の温床なんです…絶望的に最高、ですよね」
飽き性のお前が、こんな状況を最高だと思うはずがないのに。もう互いに聞く耳を持っていなかった。死にたくてたまらない、といったような顔をしている絶望にとって、生きるも死ぬも絶望だ。いっそ一思いに、ええいままよとボクは引き金に手をかけた。
「じゃ、いっくよ〜??せ〜〜〜のっ!!」



















「超高校級の幸運、ねぇ……」


「…絶望的だわっ!」


2発目の銃声が鳴り響いたのは、そのすぐ後だった。この肉塊が動き出すことは、もう二度と無いだろう。

概念は、死んだ。





















『…僕は、』

『僕は、希望を否定する』